米でブルーライト街灯に反感
赤色LED併用型の採用広がる
LEDは電気代の節約になるが、LED街灯の青みがかった白色光は、睡眠障害の原因になるかもしれない。 by Jamie Condliffe2016.09.26
発光ダイオード(LED)が安くなり、自治体がエネルギー使用の削減を推進したことで、LED街灯は全米各地の道路に次々と取り付けられている。しかしLEDを早くから採用した街の住民は、現在ある問題に直面している。LED光が好きではないのだ。
最近まで、設置されたほとんどのLED街灯の色合いは、青みがかっていた。IEEEスペクトラム誌が伝えているように、LED街灯の設置以降、人々はまぶしさや光害、野生生物への影響について不満がある。電力消費の削減に積極的に関わろうとする人々でさえ、困難な課題だと感じている。記事を執筆したジェフ・ヘクト記者は次のように述べている。
私が住むマサチューセッツ州ニュートンで2014年にLED街灯を導入する計画が発表されたとき、私は楽観的でした。私はエネルギーの節約には大賛成で、LED電球を自分のホームオフィスにつけて喜んでいました。しかし数カ月後、メーン州の田舎で1週間の休暇を過ごした後戻ってきて、私はショックを受けました。自宅の周囲が殺伐とした印象で、青みがかった強い光に照らされて、夜空の星がほとんどかき消されていると気づいたのです
LED光が青っぽいのは効率のためだ。ノーベル賞を獲得した青色LEDは、他の色のLEDよりエネルギー効率が高い。したがって、白色LEDは、実際には青色LEDと蛍光体の組み合わせであり、青色光を黄色の蛍光体に吸収させて再放出させている。蛍光体をさらに加えて、光をもっと暖色にもできるが、効率は下がってしまう。コストを抑えるため、多くの自治体はLED光を青色スペクトル周辺にとどめている。
しかし最近では青い街灯には問題がある証拠が積み重なってきた。夏に発表された記事で米国医師会(AMA)は、青みがかった街灯は従来の街灯に比べて「より有害な夜間のまぶしい光を生み出し、概日睡眠リズムに5倍以上大きな影響を及ぼす」という。
LEDのメーカーは、出力される光を調整できる高効率の赤色LEDを作って、問題を解決しようとしている。暖色系の新型LED街灯は自治体での採用が増えているが、自分の街が非情で憂鬱な青白みを帯びたヘクト記者のような人々にとっては、大して慰めにはならないだろう。
(関連記事:IEEE Spectrum, American Medical Association)
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- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。