いまだ続くICOブーム、「健全化」が成功のカギ
詐欺師たちのおかげで新規暗号通貨公開(ICO)市場は胡散臭いと評判だ。おまけに世界中の金融規制当局の注目の的になっている。しかし、それでもまだ投資家が怖がり、霧散するには至っていない。実際に起きていることは、まったく逆だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、2017年、ICOは全体で55億ドルを調達したのに対し、2018年1月から5月にかけては118億ドルを調達したと報じている。信じ難いほどのICOの勃興により、すでに1000種類を超えるデジタル・コインが駄目になっているにもかかわらず、である。
テレグラム(Telegram)の17億ドル、イオス(EOS)の40億ドルという2つの巨額ICOが、投資家が大金を支払う対象となる大きな一群となったのだ。WSJの分析によると、2018年もトークン売買で資金を調達しようとしているスタートアップ企業は、まだこれからもあるという。
だが、現在の典型的なICOと2017年のICOには大きな相違点がある。現在、トークンを公に売買するのが珍しくなる一方で、資金の大半がプライベート・オファリングで調達されている。なぜか。小口投資家に大金を失わせる可能性がある(そしてしばしばそうなる)ICOを勧めることは外聞がよくないのだ。また、最近のICOプロジェクトの大半は、規制当局の規定に準拠すべく対策を講じている。ブロックチェーン・キャピタル(Blockchain Capital)のバート・スティーブンス共同創設者はWSJに対し、現在、目にしていることはICO市場の「正常化」だと語っている。
仮に、ICOが資金の循環に役立っているのであれば、その仮定は全米経済研究所(NBER: National Bureau of Economic Research)による新しい調査報告書(PDF)の結論とも一致する。NBERの報告書によると、基本的にICOプロジェクトは胡散臭さが弱ければ弱いほど、成功する傾向があるという。報告書の執筆者は、コイン発行者が「自発的に情報を開示し、確実にプロジェクトに取り組み、品質を提示」した場合、資金の流動性と取引量が高まることを発見している。