KADOKAWA Technology Review
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Fleets of Robotic Boats Are Getting Ready to Set Sail

ロボット船団、出航準備中
貨物船にスマホ型革命

運河での人の運搬から外洋での漁場調査まで、自律航行船が海に革命を起こそうとしている。 by Jamie Condliffe2016.09.20

ロボットが自動車のハンドルを握るのはもう珍しくないが、今度は船の舵も取ろうとしている。

すでに小型自律艇が建造中で、無人潜水艦はもちろん、他の軍事用艦船も建造予定だ。さらに最近では、世界ロボットセーリング選手権国際ロボットセーリングレガッタといったイベントで、研究者が全長数メートルの小型ボートをさまざまな水域で航行させている。しかし、操舵ロボットの開発は、米国国防先端研究計画局(DARPA)の重大課題が自律運転であるように、実用的な無人船の展開よりも、最先端の研究課題の解決に焦点が当たっている。

現在、数社が商用の自動操舵船の構築に真剣に取り組んでいる。中でもアムステルダムで実施される「ロボート」(いい名前だ)は最新のプロジェクトの一部として初期投資に2700万ドルをかけ、マサチューセッツ工科大学(MIT)とデルフトテクノロジー大学、ワーゲニンゲン大学・研究機構の研究者が、自律走行の運河航行船を建造する。

プロジェクトが念頭に置くのは、港湾都市で荷物や人を運搬する小型船舶だが、ザ・バージによれば、災害時などに仮設橋や仮設桟橋の構築にも使える。プロジェクトには今後5年分の予算があり、最初の船は2017年までに進水する予定だ。

穏やかな運河をあえて避け、外洋を目指す企業もある。ニューヨーク・タイムズ紙が最近掲載したセイルドローン(本社カリフォルニア州アラメダ)が建造した小型三胴船は、ヨットのミニチュアのような外見だがレース用ではなく、水産資源の監視や環境データの収集用に航行中だ。

ボストンでは、シー・マシーンズが、同様の試みとして、タグボートの運航など、危険を伴う人間の作業を代行できる日常用の船舶を建造している。シー・マシーンズの試作ボートは、ソフトウェアによって決められた二点間を、障害物を避けながら、他の船の作業に混じって、独立航行できる。シー・マシーンズは、最近ボストン湾で試作船を試験航海させた。

外洋海運業界にはもっと壮大な計画がある。今年の初め、ロールス・ロイスは、無人コンテナ船が貨物を運ぶ将来構想を発表した。ロールスロイス海洋部門のミカエル・マキネン社長は、この構想を「スマホと同様、既存の価値基準を打ち砕くようなものです。スマートシップは船の設計と運用の現状に革命をもたらすでしょう」といった。

マキネン社長のいうとおりだ。エコノミスト紙が以前指摘したとおり、完全にロボット化された貨物船は、乗組員のいる貨物船よりも、より速く、安全に、最終的には安くなる可能性がある。しかし、ロボット貨物船の完成までには時間がかかるだろう。自律自動車の第一波のように、貨物船も操舵や機械操作などの自律機能を徐々に獲得する。その過程では解決するべき多くの課題がある。セキュリティだけを考えても、未来の海賊は、自律的船舶をハッキングし、乗っ取ることもあり得る。

こうした問題が解決するまで、自律操舵の貨物船が数十億ドル分相当の荷物を運搬することはなく、監視が容易な小型自律船舶が運河や港で実用化されるだろう。少なくとも今のところは、救命胴衣もおそらく必要だ。

(関連記事:The VergeThe New York TimesThe EconomistBoston Globe, “A Treasure-Hunting Ocean Robot”)

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クレジット Photograph courtesy of Saildrone
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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