米通信キャリア、ユーザー位置情報の販売停止へ 転売発覚を受け
米国の大手携帯電話事業者(キャリア)が、利用者の詳細なリアルタイム位置情報を購入している企業との取引を停止すると発表した。携帯電話事業者のデータを購入した企業顧客のそのまた顧客が、事前に利用者の許可を得ることなく、利用者のデータを共有していたことが発覚したことを受けての処置。
ベライゾン、AT&T、スプリントが6月19日に発表したところによると、3社はロケーションスマート(LocationSmart)および ズミゴ(Zumigo)というデータ仲介業者2社との取引を停止する予定だ。発表の後しばらくしてTモバイルのジョン・レガーCEO(最高経営責任者)も、利用者の位置情報を「いかがわしい仲介業者たち」に販売しないつもりだとツイートした。ただし、どの業者を指しているのか詳しくは触れていない。
ニューヨーク・タイムズ紙の5月の報道によると、刑務所の通話監視をするセキュラス・テクノロジーズ(Securus Technologies)は警察官や捜査官に対し、裁判所の命令無しで、携帯電話を使って利用者の位置情報を追跡できるサービスを提供していたという。あってはならないことである。
セキュラスはどこでデータを入手したのだろうか? 伝えられるところによると、セキュラスが使用したデータは、スリーシーインタラクティブ(3Cinteractive)という別の企業から入手したものだという。スリーシーインタラクティブは、(昔から複数の携帯電話事業者らデータを入手してきた)ロケーションスマートからデータを手に入れた。セキュラスの行為を受けて、オレゴン州のロン・ウィデン上院議員は同月、連邦通信委員会宛てに書簡を送付し、携帯電話事業者を調査するように求めていた。
前述の携帯電話事業者らは、データ仲介業者との取引を即刻停止するわけではない。たとえば、AT&Tの発表によると、同社は緊急ロードサービスのようなサービスを存続しつつ、「実用的な範囲内で可及的速やかに」取引を終了する予定だとしている。