導入進む「VR研修」、米有名医学部でも
実質現実(VR)による研修プラットフォームは、米国の一流メディカル・スクールによる研修プログラムの一部で普及している。
整形外科で独立した専門医になるためには、米国では高校卒業から14年間もの時間を要する。それでも、準備不足でこの期間を終えてしまう医師がいるのだ。テネシー州にあるヴァンダービルト大学整形外科のジョナサン・ショーネッカー助教授は、「研修医としての経験、特にどこで誰につくかによって、大きく左右されるのです」と述べる。ヴァンダービルト大学は、教育プログラムにVRを取り入れているメディカルスクールの1つである。
コロンビア、UCLA、ハーバード、ヴァンダービルト、そのほか米国の8つのメディカルスクールの研修プログラムでは、オッソVR(Osso VR)という VR指導プログラムの導入を決めている。「VRによる訓練を研修に取り入れるメディカルスクールが増えているのは、画期的なことです」。そう語るのは、オッソVRのジャスティン・バラッドCEOだ。「昔ながらの技術やメソッドを用いた訓練により、満たすべき成果が十分に得られず、研修内容にギャップが存在していることは否定しようのない事実です」。ほかにも、イマーシブタッチ(ImmersiveTouch)による似たようなツールが、ジョンズ・ホプキンズ大学に採用されている。
VRは、さまざまな業界での研修にますます使用されている。ウォルマートは昨年、ブラック・フライデーにおける買い物客の殺到に備えるため、VRのヘッドセットを使って研修を実施した。
ロボットが若い医師から学習の機会を奪うことで、こうした新たなツールが求められている。「新たなツールにより、熟練した整形外科医を養成する能力が大幅に向上するだけでなく、訓練期間が短縮され、医師の技術を評価する能力も高まるのです」とショーネッカー助教授はいう。「しかし最も重要なことは、VRによる研修がより安全な臨床研修につながることです」。