米国が世界最速スパコンを発表、中国からトップの座を奪還
スーパーコンピューター処理性能ランキングのトップに躍り出た「サミット(Summit)」は、エクサスケール・コンピューティングの世界への足掛かりとなるだろう(日本版注:エクサは10の18乗。100京)。
テネシー州にある米国エネルギー省のオークリッジ国立研究所が公開したサミットは、ピーク性能で200ペタフロップス、すなわち1秒間に20京回の浮動小数点数演算ができる。一般的なノートPCの100万倍の速さだ。
サミットが登場するまで、スーパーコンピューティング・ランキングのトップは中国の無錫(むしゃく)市に設置されている「神威・太湖之光(しんい・たいこのひかり:Sunway TaihuLight)」だった。サミットは神威・太湖之光よりも60%速い。しかし、中国はそれでも、昨年発表された世界最速のスーパーコンピューター・ランキングの500位までのリストで、米国のエントリー数をはるかに凌いでいる。
サミットは、機械学習やニューラル・ネットワークなどのAIアプリケーションを扱うために一から設計された初のスーパーコンピューターだ。エヌビディア(Nvidia)やIBM製のAIに最適化されたチップを何千個も搭載し、要求されたタスクをこなす。山のような量の報告書を処理したり、医用画像から疾病の隠れた原因を突き止めたりできる。
サミットは4608台のサーバーで構成する。周辺機器と合わせるとテニスコート2面分を埋め尽くし、重さは大型の民間航空機以上だ。
スーパーコンピューティング・ランキングのトップに君臨することは、国家の誇りの問題だけではない。スーパーコンピューターは産業界、あるいは核兵器の開発など国家安全保障の業務にも広く使用されている。サミットから得られる教訓はまた、1秒間に100京回の計算を処理できる「エクサスケール」コンピューターの開発に拍車をかけることになるだろう。エクサスケール・コンピューターは、2020年代初めには稼働すると期待されている。