鎌状赤血球症のCRISPR療法、FDAが治験に「待った」
遺伝子編集ツール「クリスパー(CRISPR)」を使った鎌状赤血球症の患者に対する治験が、米国の規制機関から出された詳細不明の質問を理由に、実施を保留されている。
クリスパーによる治療法を開発しているクリスパー・セラピューティクス(CRISPR Therapeutics)は治験を開始するため、4月に米国食品医薬品局(FDA)に対して認可を申請していた。この治療法では、患者の骨髄から抽出された幹細胞を、クリスパーを用いて研究室内で改変する。改変済みの幹細胞は、患者に注入されると正常な赤血球を産生し始める。
2018年5月30日にクリスパー・セラピューティクスが出した声明によると、FDAが同社に対して、クリスパー治療に関する質問に回答するまでは研究を先に進めないよう指示してきたという。ただし、クリスパー・セラピューティクスは質問内容の詳細について、声明の中で触れていない。
FDAにコメントを求めたが、回答は直ちに得られなかった。
クリスパー・セラピューティクスによると、今回のFDAによる指示は、米国での臨床試験と同様の手順を用いて実施する「ベータサラセミア(地中海性貧血)」 という遺伝性血液疾患に対する欧州での治験に影響を及ぼすことはないという。クリスパー・セラピューティクスは、2018年下半期に欧州での治験を開始する計画だ。
一方、ペンシルベニア大学により実施される米国初のクリスパー臨床試験に関しては、 現在、患者の登録が行なわれている最中である。