EUの一般データ保護規則、フェイスブックやグーグルに有利か
ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズの両紙は、大手テック企業に手綱を付けて活動を制御することが広く期待されている新しい規則が、むしろ逆効果になるかもしれないとの記事を掲載した。
欧州連合(EU)は2018年5月25日、一般データ保護規則(GDPR)を施行する。企業がEU居住者の個人情報を使おうとするときに、同意の取得を義務付けるものだ。フェイスブックによる個人情報の不正利用のような活動を一掃するのに役立つと考えられている。
だが、果たしてそうだろうか。ニューヨーク・タイムズは、「用心深い消費者は自分の個人情報を開示する際、なじみのない新規参入者よりも、一般に知られている企業を信頼しがちだ」と指摘している。ウォール・ストリート・ジャーナルは、大手企業は「新しい法律について比較的厳格に解釈し、相対的に小さい企業が適合しにくい業界標準を設定することになるだろう」と述べている。
大手企業は有利な立場にある。EUの当局者であるベラ・ジュローバはウォール・ストリート・ジャーナルに、グーグルとフェイスブックは「豊富な資金、多人数からなる法律顧問団と技術者集団を持っている」ので、新法への移行プロセスは比較的容易だと語った。
つまり、規模が小さい企業がGDPRへの対応に苦労する一方で、フェイスブックとグーグルはますます繁栄し、広告における2社寡占状態が強まる可能性があるということだ。
ただ、現在フェイスブックを始めとする大手企業は、データの使用についてかつてない厳しさで監視されている。GDPRはフェイスブックなどにとって有利な面があるかもしれない。しかし、何かまずいことがあったときに法律家、政治家、活動家が責め立てるのはフェイスブックのような大会社なのである。