AIの進化には脳の解明が不可欠、DARPAが指摘
ペンタゴン(米国防総省)に所属する既成概念にとらわれない独創的な研究グループは、人工知能(AI)をさらに進化させるには人間の脳の働きをもっと理解する必要があると考えている。
米国国防先端研究計画局(DARPA)は、麻痺状態にある患者にロボット四肢を装着し、その動かし方を習得させるヒューマン・コンピューター・インターフェイスを開発した。だが1つ問題がある。人間の脳は、何かの動作をするための新しい方法を常に学んだり試したりし続ける。脳からの信号をロボット四肢への命令に変換するソフトウェアがそれに追いつかないのだ。DARPAの幹部は、ウォール・ストリート・ジャーナルのオピニオン欄に、問題にはAIが役立つ可能性があると寄稿している。
DARPAは強化学習、つまり機械が試行錯誤するプロセスを使って、ソフトウェアを改善しようとしている。強化学習はビデオゲームには効果があることが分かっているが、コップをつかむといった日常的な数々の動きははるかに複雑だ。DARPAの目標を実現できるAIを開発するには、人間の脳がどのような仕組みで動作を難なくこなしているのかについて、これからもっと研究していく必要がある。
だが、現時点ではこの手のテクノロジーは夢物語であり、現実的ではない。テック企業はAIに巨額の投資をしているが、脳とのインターフェイスとなると、ほとんど議論すらされていない。学習と適応を継続するという驚くべき能力を、どのように脳が発揮しているのかも十分にわかっていない。だから、AIによって動くロボット四肢がありふれたものになるには、まだ時間がかかるということだ。