メトカーフの法則で分かった、ビットコインの本当の価値
ネットワークの価値を測るメトカーフの法則を応用すると、暗号通貨の本当の価値が計算できるだけではなく、暴落の時期まで予測できると、スイスの研究チームが発表した。現在のビットコインの価値は過大評価であり、今後の動きには要注意だ。 by Emerging Technology from the arXiv2018.05.16
通貨の価値を算定する方法として哲学者、経済学者、専門家が適切だと見なす方法は複数ある。貨幣を発行する際にかかる多額のコストで価値が決まるという人もいる一方で、通貨とは単に資産を交換する際の信用度を証明する手段に過ぎず、本来は紙切れに過ぎない紙幣やデジタル記録といった形態でも構わないと考える人もいる。
さらには、通貨の供給量は限られているため、その価値は需要によって決まるという考え方もある。これだと、暗号通貨ビットコインの相場が時に極端に乱高下する現象に説明がつく。
これまでに述べた考え方のどれにも、何かしらの難点がある。ビットコインの発行や採掘に必要な暗号化された「プルーフ・オブ・ワーク」を生成する際、多額のコストがかかるのは間違いない。しかしビットコインの価値とコストの間には、ほとんど相関性がない。2017年末まで、1ビットコインの価値はほぼ2万ドルで、全ビットコインを合計した価値は8300億ドルに達していた。そして、ほんの数週間後には、相場が2800億ドルにまで暴落した。
では、ビットコインの本当の価値はどのくらいなのだろうか。
最近になって、スイス連邦工科大学チューリッヒ校のスペンサー・ウィートリー教授の研究チームが発表した論文によって、ある種の答えを得られた。彼らによると、暗号通貨の価値を測る主要な手段は、その暗号通貨を使う人のネットワーク規模だという。さらに、この手法でビットコインの価値を算定すれば、過大評価されているかどうかが判別でき、相場の暴落が差し迫っている明確な兆候に気付くことも恐らく可能になるだろうという。
ネットワーク価値の測定法を考案した人物が、ロバート・メトカーフ博士というのは有名な話だ。メトカーフ博士はイーサネットを発明し、コンピューター・ネットワーク機器メーカー「スリーコム(3Com)」の創業者でもある。メトカーフの法則によると、ネットワークの価値はユーザー数の2乗に比例する。
ビットコインの価値をアクティブ・ユーザー数を基に計算するのは簡単だ。研究チームは、パラメーターを微調整したメトカーフの法則をユーザー数のデータに当てはめた。通常ならユーザー数の2乗(2のべき乗)だが、1.69という指数が妥当との結論に達したからだ。
このような調整は理に適っている。ネットワークの価値は接続可能な数全体に比例して増加するという考えを、メトカーフの法則は基礎にしている。要するに、すべてのノードが相互に接続可能ということを前提にしているのだ。
「元の法則をそのまま使うのは現実的ではないようです」と研究チームはいう。彼らの研究によると、各ユーザーが他のユーザーとつながる割合は平均で N2/3 だという。 「たとえば、 Nが10 …
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