ブロードコムによるクアルコム買収、米当局が安全保障を理由に調査
半導体メーカーのブロードコム(Broadcom)が1170億ドルで同業のクアルコム(Qualcomm)を買収しようとしている。だが米国政府の安全保障上の懸念によって、断念せざるを得ないかもしれない。
米国政府はブロードコムの買収計画を精査するため、クアルコムに株主総会の延期を要請したと、ロイターが報じている。米国財務省長官が議長を務める対米外国投資委員会(CFIUS)が買収計画を調査する。調査によってCFIUSは買収の中止を勧告できる。
何が問題かというと、米国に本社を置くクアルコムは無人乗用車などにも使われる5G無線技術のトップ企業だからだ。クアルコムが売却により外国企業になると、クアルコムが開発してきた先進技術を外国に依存しなければならなくなる可能性がある(訳注:ブロードコムは2016年にシンガポール企業に買収され、登記上の本社をシンガポールとしている)。クアルコムはブロードコムによる買収に対抗するため、CFIUSに買収計画を調査するように働きかけてきた。
こうした動きに対して、ブロードコムは、国家安全保障の懸念が誇張され過ぎているとの見解を述べている。ブロードコムは、CEO(最高経営責任者)が米国人であること、本社を米国へ移す最中であること、クアルコムと共通の機関投資家がいることを指摘している。
安全保障をめぐる緊張が高まっている。米国は最近、ファーウェイ(Huawei)やZTEといった中国企業が製造したスマホなどの無線機器の米国内での販売を阻止する動きを一層強めている。また、中国の主要なテック企業による複数の買収計画も中止させている。