タトゥシールに着想、食べられる電子回路の原理を実証
イタリア工科大学の研究チームが、転写シールの技術を応用して、食品や医薬品錠剤に転写して食べられる電子回路を開発した。生体適合性の確認などの課題はあるが、体内で様々なモニターや分析を実施するなどの用途が考えられる。 by Emerging Technology from the arXiv2018.02.19
転写可能なタトゥー、すなわち転写シールは子ども時代や工業デザインにおいて慣れ親しまれているものだ。テクノロジー自体は単純だ。転写シールは、水溶性のデンプンまたはデキストリンの犠牲層により一枚の紙に張り付いたエチル・セルロース・ポリマーの薄いフィルムで構成する。
転写シールを水に浸すと犠牲層が溶けて、エチル・セルロースのシートが人の皮膚や他の多くの物に「転写」される。エチル・セルロース・ポリマー・フィルムの重要な特性は、従来のインクジェット印刷を用いて作成した画像や文字をその上に載せられるということだ。
転写シールの技術からインスピレーションを得たのが、イタリアのジェノアにあるイタリア工科大学(IIT)のジョルジオ・ボナチーニ博士が率いる研究チームだ。ボナチーニ博士たちの研究チームは有機的な電子部品を転写紙に印刷し、出来上がった回路の特性について検査した。さらに、医薬品錠剤や果物といった食べられる物体の上にも回路を転写した。
消化管内で機能する電子デバイスは決して目新しいものではない。長年にわたって医療の専門家たちは、カメラや電池などの電子デバイスを含むカプセルを利用している。
だが、これらのデバイスは高価で柔軟性のないシリコンベースの部品のみで作られている。一方、材料科学者たちは最近、プラスチック・ディスプレイなどの強力な電子デバイス内部にインクジェット印刷できる導電性ポリマーの開発において、大きな成果をあげている。
ボナチーニ博士たちの研究チームは、転写紙の上に電子回路を作成するために、同じインクジェット印刷の手法を用いている。
当然のことながら、出来上がったデバイスが生体に適合するかどうかが重要な問題となる。研究チームは、エチル・セルロースのフィルムが医薬品錠剤などに対する可食性コーティングとして、長い間にわたって使用 …
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