人はいつ「幸せ」を感じるのか? 東大生ら10万件のデータを公開
幸せを科学で解き明かすことはできるのか。東大生らの研究チームは、10万件にものぼるデータを自然言語処理を使って解析し、幸せの瞬間に何が起こっているのかを解明しようとしている。公開されたデータベース「HappyDB」は、人々が幸せになる手助けになるかもしれない。 by Emerging Technology from the arXiv2018.03.02
幸福を科学することは、心理学者と一般社会がますます関心を寄せる分野になっている。この学問分野の中心にある疑問は、何が人を幸せにし、何が幸せを長期間持続させるのかというものだ。
さまざまな要素が重要な役割を果たすようだ。心理学者は幸福の約50%は遺伝子によってもたらされると考えている。つまり、人がどの程度幸せになれるかは前もってプログラムされているという。一方、生活環境はたったの10%しか幸福度に寄与しない、というのが心理学者の考えだ。
その他はその人自身がコントロールすることになる。幸福度の約40%は自身の選択の結果だ。人と人の長い付き合いに投資すること、有意義な仕事をすること、最愛の人と絆を築くことなどがその例だ。
実際に、比較的新しい分野であるポジティブ心理学では、上で述べたような行動へと人を誘導している。さらに、幸福度を高める選択肢を与える手助けをするアプリもますます増えている。
だが、こういった選択や行動に関する研究はまだ初期段階だ。幸福は、要求に応じてそのスイッチを入れたり切ったりできるような、画一的なものではない。幸福とは、複雑に絡み合った状況や、そのような状況の順序によって引き起こされる、ある一つの状態、あるいは一連の状態のことだ。だが、これらの状況の性質はどのようなものか、どのように引き起こされるのかを細かく探り出す研究はまだ比較的少ない。
東京大学の学生である浅井明里と世界各地の研究者による研究によって、そうした状況が変わろうとしている。研究チームは10万件にのぼる幸せな瞬間のデータベースを構築し、コンテンツのデータ・マイニングという骨の折れる研究を始めた。そしてこのほど研究チームは、「HappyDB」というデータベースを、誰でもより詳しく探究できるようにインターネットに公開した。
データベースの作成方法は単純だ。研究チームはアマゾンのクラウド・ソーシングサービス「メカニカル・ターク(Mechanical Tu …
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