KADOKAWA Technology Review
×
カバーストーリー 無料会員限定
The Unintended Consequence of Congress’s Ban on Designer Babies

米デザイナーベビー規制
ミトコンドリア病治療も禁止

遺伝子編集を禁止する連邦議会の規制により、重篤な症状をもたらすミトコンドリア病を治療する遺伝子編集の臨床試験まで規制された。 by Mike Orcutt2016.08.26

2015年の連邦歳出予算には「デザイナーベビー(遺伝子を編集された赤ちゃん)」の誕生につながる遺伝子編集手法の人体実験を禁止する重要な2文が盛り込まれていた。今年更新される条項に、ミトコンドリアに由来する致死性の遺伝病を受け継がせないようにする画期的な手法の支持者たちが動揺している。

法案内の文言では、人間の生殖細胞の遺伝子を操作する手法、たとえばクリスパー(CRISPR)などの使用について明確に言及している(「Engineering the Perfect Baby」参照)。ほとんどの科学者は、現段階で人間の生殖細胞を実験的に編集するのは無責任だという点には同意している。しかし、禁止される手法には卵子核移植(人間の卵子から核を取り出して他人の卵子に移植することで、ミトコンドリア病の遺伝を防ぐ技術)も含まれる。ミトコンドリア病は消耗性疾患を引き起こし、患者は死に至る場合もある。

ミトコンドリアは細胞内に存在し、エネルギー生産を担っている。ミトコンドリアは細胞核のDNAとは異なる独自のDNAを持ち、子どもは必ず母親からミトコンドリアDNAを受け継ぐ。ミトコンドリアや細胞核のDNAに変異が起こると、さまざまなミトコンドリア病の原因となる。症状の多くは重篤で、消耗性疾患が起こる場合もある。米国で …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る