AT&Tとファーウェイの提携が中止、スパイ疑惑で圧力か
米国の通信会社AT&Tが、ファーウェイ(Huawei)製携帯電話の販売計画を取り下げたことが、国際関係に影響を与える恐れがある。
中国のファーウェイは、サムスン(Samsung)とアップルに次ぐ世界大手の携帯電話メーカーだが、米国内ではあまり普及していない。AT&Tと提携関係を結ぶことで米国市場へ食い込むはずだったが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、提携は撤回された模様だ。
理由は明らかになっていない。WSJの別の記事によれば、ワシントンの政治家の間ではファーウェイの機器が米国人のスパイに使われる可能性があるとの懸念が依然根強く、その「圧力が影響したのではないか」としている。テック業界専門のWebメディア、インフォメーション(Information)はこの見方を支持し、「政治的圧力が背景にある」としている。
香港で発行されている日刊英字新聞、南華早報(サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、親会社はアリババ)は、一連の出来事は、中国と米国との緊張を高めるだろうと報道している。1月第1週、アリババ(Alibaba)の決済子会社、アント・フィナンシャル(Ant Financial)によるマネーグラム(MoneyGram)の買収がセキュリティ上の懸念を理由に差し止められている。マネーグラムは国際送金ネットワーク・サービスを提供している米国企業だ。中国商務部の元関係者は南華早報に対し、もしさらに状況が悪化すれば、中国は「対抗策」を考えるべきだと述べている。