KADOKAWA Technology Review
×
ロボットは2017年、
こんなに進化した
Kristian Hammerstad
カバーストーリー 無料会員限定
The Year Robots Backflipped Their Way into Our Hearts

ロボットは2017年、
こんなに進化した

バク宙できる脚型ロボット、モノを効率よくつかめるピッキング・ロボ——。2017年もさまざまな進化を遂げたロボットの中から、未来を感じさせる注目の動きを振り返ろう。 by Will Knight2018.01.16

ロボット革命が始まった。今や知能を持ったマシンが、ショッピングモールや病院、路上を巡回し、果物の収穫から手術にいたるまで、ロボットはその腕前をめきめきと上達させている。自動化が人間の生活に変革をもたらそうとしているのだ。

バク宙ロボット

https://www.youtube.com/watch?v=fRj34o4hN4I

最近お披露目されたあるロボットはパルクールのような動作が可能で、後方宙返りも楽にこなす。このアクロバットなロボットを開発したのはボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)。その素早い身のこなしからは、人型ロボットを複雑で困難な環境に適応できるように、急速に進化させている様子がうかがえる。

2015年に開催された「DARPAロボティクス・チャレンジ」(同じロボットの初期型が、扉を開けたり、車から踏み出すといった簡単なタスクでさえ苦労していた)を見た人にすれば、バク宙は格段の進歩に感じられるだろう。しかし、このロボットが継続的にバク宙できるのか、また別の状況に対応できるのかは不明だ。

ボストン・ダイナミクスは、グーグルが2014年の大型投資で買収した注目のロボティクス企業の1つだ。創業者はマーク・レイバートで、動物のように脚を使って走行する脚型ロボットのダイナミック・バランシング・アルゴリズムの分野を切り開いたロボット工学者。以前はMITの教授も務めた。ボストン・ダイナミクスのロボットの卓越した動きを見ていると、まるで生きもののように思えてくる。

脚型ロボットは現在でも莫大なコストがかかり、商業化は難しい。そのため、2017年にグーグルがボストン・ダイナミクスを日本のソフトバンクに売却したニュースは少々驚きだった。それでもボストン・ダイナミクスはさらなる進展を見せており、2017年11月には「スポット(Spot)」という4足ロボットをお披露目した。同社が小型化と制御を着実に進化させていることが分かる。

器用なピッキング・マシン

ほかにも注目すべき進歩の例として、カリフォルニア大学バークレー校のケン・ゴールドバーグ教授のチームは、多様な物体を持ち上げられるロボット・アームを公開している。バークレー校のロボットの注目すべき点は、入念なプログラムや練習の繰り返しではなく、バーチャル物体とそれらをつかむ動作を収めた大規模なデータベースの学習によって、動作を覚えたことだ。その知識を利用して、未知の物体や変わった形の物を持ち上げることもできた。

物をつかむ動作は、今でもロボット工学 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Why handing over total control to AI agents would be a huge mistake 「AIがやりました」 便利すぎるエージェント丸投げが危うい理由
  2. OpenAI has released its first research into how using ChatGPT affects people’s emotional wellbeing チャットGPTとの対話で孤独は深まる? オープンAIとMITが研究
  3. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る