発売が待ち遠しいVR/ARヘッドセットとアプリ5つ
新しいヘッドセットからハリー・ポッターのゲームやスピルバーグの映画まで、今年登場が待ち遠しいVR/AR関連の商品を紹介。 by Rachel Metz2018.02.17
新しい現実へと私たちを転送したり、デジタル・イメージを周りの世界と合成したり、あるいはその両方をしてくれたりするヘッドセット(ゴーグル)を手に入れるのは、ほとんどの人たちにとってまだ先のことになりそうだ。
とはいえ、2017年を振り返ると、実質現実(VR)と拡張現実(AR)は大きな進歩を遂げた。2018年も多くの進歩が起こるはずだ。ハリー・ポッターシリーズのキャラクターたちを生き生きと見せてくれるスマホアプリや無線VRゴーグル、それにバーチャル休暇などが、私たちの目の前までやってきている。
この記事では、2018年に手に取ることが楽しみな、拡張現実(AR)と実質現実(VR)のクールなヘッドセットやアプリを紹介しよう。
スタンドアローンのVRゴーグル
VRの動作には処理能力とバッテリーが必要だ。そのため、初期の消費者向けVRゴーグルのラインナップには大きく2つの種類があった。1つは、オキュラス・リフト(Oculus Rift)やHTC バイブ(Vive)といったハイエンドモデルで、値段の張るコンピューターと接続する必要があるもの。もう1つは、サムスンのギアVR(Gear VR)やグーグルのデイドリーム・ビュー(Daydream View)のような、処理能力とバッテリーをスマホで賄う、より安価なモデルだ。
だが、こうした状況も2018年には一変するだろう。オキュラスは2種類のスタンドアローン型のヘッドセットを年内に発売する予定だ。「サンタ・クルーズ(Santa Cruz)」の名で知られている豪華な開発者向けモデルは、ポジション・トラッキング機能を内蔵している(価格や詳細な発売日は公表されていない)。「オキュラス・ゴー(Go)」と呼ばれるローエンドな消費者向けヘッドセットは、トラッキング機能では劣るものの、価格は199ドルであり、2018年の早い時期にリリースされる予定だ。
HTCも、「バイブ・フォーカス(Vive Focus)」という一体型ヘッドセットの出荷を1月から始めた。ホワイトとブルーのどちらを選ぶかによるが、価格は600ドルから650ドルほどだ。だが、米国でバイブ・フォーカスにお目にかかることはないかもしれない。HTCは今のところ、中国での販売しかアナウンスしていない。
マジック・リープ・ワン(Magic Leap One)
20億ドル近い巨額の資金を調達し、フロリダに拠点を置く、謎に包まれたスタートアップ企業マジックリープは、2017年末、同社初となるヘッドセット「マジック・リープ・ワン(Magic Leap One)」を発表した。2018年内の出荷を予定している。この黒いヘッドセットはスチームパンクSFに登場するゴーグルのような形状をしており、開発者向けである。マジックリープによれば、快適な装着感を持つと同時に、素晴らしい見え方をつくりだしてくれる。多くのARヘッドセットメーカーを悩ませてきた2つの課題をクリアしているというわけだ。
マジックリープは2011年から発売へ向けて動いてきたが、価格や発売日を含め、いまだ公開されていない情報が多い。この目で確かめるまでは、態度を保留しておこう。だが、きっと感動させてくれるだろうと期待している。
ハリー・ポッター:ウィザード・ユナイト(Harry Potter: Wizards Unite)
2016年夏にリリースされたポケモン・ゴー(Pokémon Go)は人々の心を掴み、今でも何百万人ものユーザーがスマホをかかげながら外を歩き回っている。手に握ったディスプレイの中でしか探すことのできない、ヒトカゲやフシギダネといった魅力的なポケット・モンスターたちを探しているのだ。
ポケモン・ゴーの成功に支えられ、開発元であるナイアンティック(Niantic)は、ワーナー・ブラザース・ゲームズと共同で2018年に新たなゲームをリリースしようとしている。今度のゲームは、ハリー・ポッターのファンという、ポケモン・ゴーよりもさらに広い客層にアピールできるかもしれない。
「ハリー・ポッター:ウィザード・ユナイト(Harry Potter: Wizards Unite)」と題されたこのゲームでは、現実世界を歩きながら、ハリー・ポッターの書籍に登場する道具を見つけたり、呪文をかけたり、キャラクターたちと会ったりできる。ナイアンティックは正確にはいつごろゲームがリリースされるのか、ゲームがどんなものになるのかについては、まだ情報を出していない。誰もナイアンテックに真実薬を飲ませていないのだろう。今のところ、詳細は謎に包まれたままである。
オウルケミー・ラボ(Owlchemy Labs)の休暇シミュレーター
オウルケミー・ラボ(Owlchemy Labs)は、本当にスマートで笑えるVRゲームを制作した最初の会社の1つだ。たとえば、「ジョブ・シミュレーター(Job Simulator)」というゲームでは、プレイヤーはロボットがすべての労働をこなすようになった未来で、さまざまな仕事を行なうことになる。
2017年5月にグーグルに買収されたオウルケミー・ラボは2018年、ユーザーが休みを取ることができる新しいゲームを発表する。「バケーション・シミュレーター(Vacation Simulator)」と題したこのゲームは、コンセプトやカクカクしたアニメーションという点ではジョブ・シミュレーターと似ているように見える(おまけに予告編を見る限りはロボットたちは今作にも登場していて、プレイヤーをからかっているようだ)。だがこのゲームでは、プレイヤーはVR上のビーチでだらだらし、ホットドッグを食べ、バケーション・ランドという架空の島を探検できるのだ(それがリラックスできる体験なのかは別として)。
バケーション・シミュレーターは、HTCバイブ、オキュラスVR、そしてプレイステーションVRヘッドセット(ゴーグル)向けに販売される予定だ。
レディ・プレイヤー1(Ready Player One)
「レディ・プレイヤー1(Ready Player One)」は、1980年代に心を奪われたティーンエイジャーが、オアシスというVR世界で宝探しをする様子を描いた、アーネスト・クラインによるベストセラーSF小説を原作としている。豪華な映像表現によって、物語を巨大スクリーンにふさわしいものにしている。
スピルバーグ監督による映画版が3月30日に公開予定。予告編が本編の内容を少しでも反映しているとすれば、アクション満載で、驚くべき視覚効果を見せてくれる映画だ。VRゴーグルなしでも、観客を信じられないようなバーチャルの楽園へと誘ってくれるだろう。
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- レイチェル メッツ [Rachel Metz]米国版 モバイル担当上級編集者
- MIT Technology Reviewのモバイル担当上級編集者。幅広い範囲のスタートアップを取材する一方、支局のあるサンフランシスコ周辺で手に入るガジェットのレビュー記事も執筆しています。テックイノベーションに強い関心があり、次に起きる大きなことは何か、いつも探しています。2012年の初めにMIT Technology Reviewに加わる前はAP通信でテクノロジー担当の記者を5年務め、アップル、アマゾン、eBayなどの企業を担当して、レビュー記事を執筆していました。また、フリーランス記者として、New York Times向けにテクノロジーや犯罪記事を書いていたこともあります。カリフォルニア州パロアルト育ちで、ヒューレット・パッカードやグーグルが日常の光景の一部になっていましたが、2003年まで、テック企業の取材はまったく興味がありませんでした。転機は、偶然にパロアルト合同学区の無線LANネットワークに重大なセキュリテイ上の問題があるネタを掴んだことで訪れました。生徒の心理状態をフルネームで記載した取り扱い注意情報を、Wi-Fi経由で誰でも読み取れたのです。MIT Technology Reviewの仕事が忙しくないときは、ベイエリアでサイクリングしています。