CRISPRビッグ3の1社、欧州で初の臨床試験実施へ
このところずっと、複数のバイオテクノロジー企業が、遺伝子編集技術「クリスパー(CRISPR)」による遺伝子療法が非常に精度を増してきたと述べている。その1社であるクリスパー・セラピューティクス(CRISPR Therapeutics)が、クリスパーを人体で治験する準備ができたという。
クリスパー・セラピューティクスは12月7日、人の血球の遺伝子を修正してベータ・サラセミア(地中海性貧血)を治療する試みの許可を、欧州の規制当局に申請したことを発表した。その研究は来年にも始まる予定である。
クリスパーが遺伝子療法を加速させることは、2013年には明らかだった。クリスパーを使って、生きている人間の細胞の中の遺伝子コードを外科的に切り貼りできることが、初めて示されたときのことである。その後すぐさま、クリスパー・バイオテック業界のビッグ3である、クリスパー・セラピューティクス、エディタス・メディシン(Editas Medicine)、インテリア・セラピューティクス(Intellia Therapeutics)が設立されて資金調達に成功し、その後、株式を公開した。3社はすべて、マサチューセッツ州ケンブリッジのマサチューセッツ工科大学(MIT)から数ブロック以内に位置する。
これらの企業が業務を開始したとき、多くのことは投資家の想像上の産物であった。しかし各社は、クリスパーを実験室から出して、臨床試験に持ち込もうと迅速に行動した。臨床試験はどんな企業にとっても、新しいタイプの薬を発明するにあたっての重要なマイルストーンなのだ。
ビッグスリー各社は目標に向かって研究を進めているが、困難がないわけではない。当初はエディタス・メディシンが先頭を走っており、生きている人の遺伝子編集を実施する最初の企業になると思われていたが、先だって、2018年の適当な時点まで眼科治療の研究を延期することを決定した。3社のうち最後に創立されたインテリアは、自社のクリスパー医薬品の機能についての確固たる証拠を得るために、猿を使ってデータを収集している段階である。