「ビットコインは詐欺」でもJPモルガンがブロックチェーンに賭ける理由
米国最大の銀行であるJPモルガン・チェースは、暗号通貨のスタートアップ企業と提携して、ブロックチェーン技術を金融業界に適用させることに熱心に取り組んでいる。同行の最大の関心事の一つは、ブロックチェーンで完全な匿名性を保った取引を可能にすることと見られる。 by Mike Orcutt2017.11.29
JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEO(最高経営責任者)は先月、ビットコインを「詐欺」であると話したが、ブロックチェーンに対する考え方は明らかに異なるようだ。
JPモルガン・チェースは、ブロックチェーン技術を金融業界に適応させるべく取り組んでいる急先鋒である。さらに驚くべきことに、完全な匿名性を除いてビットコインに似た電子マネーの関係者と、協力関係を築いている。
ダイモンCEOや他行のCEOが、ビットコインや似た暗号通貨を脅威とみなしているのなら理解できる。グレート・リセッション(2000年代後半に始まった世界的な不況)の真っただ中に生まれたビットコインは、結局のところ、銀行に代わって、ソフトウェアとインターネットを経由して接続される無数のコンピューターを使用して、ピア・ツー・ピア(P2P)のお金のやり取りを実現する可能性を示すものである。ネットワーク上のコンピューターにより、ブロックチェーンと呼ばれる各取引の安全な台帳を維持し、それによって不正を防止する (「What Bitcoin Is, and Why It Matters」を参照)。
だが、銀行幹部がビットコインの通貨をどう考えていようと、彼らはブロックチェーンに革命的なプラットフォームとしての可能性を見い出している。あらゆるタイプの金融取引を管理でき、より安全性と信頼性が高く、費用対効果の高いシステムをもたらし得るからだ。ただし、まだ発展途上であり、いわゆる「企業のブロックチェーン」に関する取り組みの大部分は実験的なものである。金融機関がブロックチェーンの利点、特に、中央の管理権限主体が存在しないという特性を損なうことなく、どこまで自らのニーズにこのテクノロジーを適応させられるのかはまだ不明だ。このことは、台帳内の情報に対する不正を防止するという観点から重要である。
プライバシーは特に複雑な問題だ。一般的な認識と異なり、ビットコインやイーサリアムといった暗号通貨は匿名ではない。公開台帳では、利用者をアドレスと呼ばれる文字列で表す …
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