直径1メートルの部品も製造可能、GEの新型3D金属プリンター
長い間、金属の3Dプリント手法は費用と時間がかかりすぎ、製造できる部品の耐久性も低く、従来の製法とは比べるべくもなかった。しかし、そのような状況は急速に変わりつつある。
11月14日、世界最大の付加製造業者向け見本市「フォームネクスト(Formnext)」で、ゼネラル・エレクトリック(GE)が最新型の金属3Dプリンターのベータ版(掲載画像)を発表した。大半の金属3Dプリンターと同様に金属粉末にレーザーを照射して固形金属形状に変化させる仕組みだが、旧型機につきまとっていたサイズ面での制約を解消することを目指して設計されており、 最大で直径1メートルの金属部品を製造できる。GEによると、サイズの上限をさらに引き上げることも可能だという。
まだ製品名の決まっていないこの新型プリンターは、構想からわずか9カ月でベータテストにこぎつけ、既にジェットエンジンの燃焼器ライナーの製造に使用されている。GEはここ数年にわたり、ジェットエンジン用部品をはじめとする自社製品の金属部品製造に3Dプリンターを使用しているが、新型機はGE以外の企業にも利用されることになるだろう。GEは、航空機、自動車、宇宙航空、石油・ガス産業にターゲットを絞り、来年度から大々的に新型3Dプリンターの販売を開始するとしている。
GEの新型3Dプリンターは金属3Dプリント技術の急速な進歩を反映しており、この技術が製造業向けのより実用的なツールになりつつあることを示している。今年10月、ローレンス・リバモア国立研究所の研究者たちは、従来の3Dプリントで製造した部品と比較して3倍の強度を持つスレンレス製部品を製造する新たな手法を開発したと発表した。つまり、構造的な完全性を損なう心配なしに、重要な機能を担うパーツを3Dプリントで製造できるようになったのだ。一方、スタートアップ企業デスクトップ・メタルは、速度面の課題解決に取り組んでいる。来年度の発売が予定されている同社の製造機器は、レーザー式3Dプリンターの100倍の速さで金属部品を生産できるという。
- 参照元: 3D Printing Industry、GE