フェイスブック、通信会社にAI人材を派遣
私たちはその答えを知ろうとしているところかもしれない。 ワイアードの報道によれば、フェイスブックは人工知能(AI)スタッフの採用に苦労してきた通信会社に、機械学習の専門家を何人か送り込んで様子を見る計画を始めたという。通信会社は、AIがどのように自分たちのネットワークを改善できるのかを探るために、AI人材を活用するつもりだ。例えば、携帯電話の基地局の位置を最適化したり、停電が起こる時期と場所を予測したり、日々の仕事を自動化したり、といったことだ。
もちろん、素晴らしく寛大な行為ではないことは覚えておく価値がある。通信会社のサービス向上はフェイスブックの利益となる。というのも、人々が意識せずにニュースフィードを読み進めることができる、よりよい接続環境を意味するからだ。
だが、フェイスブックのアイデアは、テクノロジー産業全体の大問題の緩和にいくらか役立つかもしれない。AIがあらゆる種類の仕事を合理化できることにほとんど疑いの余地はないが、最近のマッキンゼーのレポートでは、機械学習分野の人材不足が、効率化を実際に実現する速さに影響することが指摘されている。AI人材の不足は、フェイスブックやグーグルといった巨大テック企業が、大学や産業界から専門知識を激しくむさぼり食ってきた事実によって悪化しつつある。
人材不足を補うための取り組みはほかにもある。たとえば、コーセラ(Coursera)というスタートアップ企業は、AIの開発に必要となるスキルを何百万もの人々に訓練することを目指している。一方、機械学習システムの開発自体の自動化を推進することにより、専門家ではない人々がAIを構築できるかもしれない。
だが、そうした取り組みが実を結ぶには時間がかかる。それまでは、既存の人材をできるだけ効率よく活用するという考えには大いに意味があるだろう。先週、マサチューセッツ州ケンブリッジで開催されたEmTech では、AIの専門家であるアンドリュー・ングが、企業は社内にAIスタッフを点在させるのではなく、問題をより速く、より賢いやり方で解決するために、共同利用する人材を集めた機械学習チームを作るべきだと提案した。
AIの専門家がフェイスブックやグーグルといった企業の内部に集中している「独占問題」は明らかにある。おそらく、ングの助言を推進するには限界があるだろう。だが、さまざまな産業の問題を解決するために、巨大テック企業が大量に蓄積してきた専門知識を持つチームを貸し出す状況はあり得るのではないか。決して完璧な解決策ではないが、AIの専門知識を必死で得ようといくつかの企業を助けることはできるはずだ。
だからこそ、フェイスブックと通信会社の実験がうまくいくかどうか? フェイスブックが将来的に他の分野に同様の約束をするかどうか? 興味深い動きといえそうだ。
- 参照元: Wired