トランプ政権の研究費削減はナンセンス、前科学顧問が批判
オバマ政権で科学技術補佐官を務めたハーバード大学のジョン・ホルドレン教授は、トランプ政権によるエネルギー研究費の大幅削減には先見の明がないと批判した。エネルギー問題への取り組みは、雇用の増大、大気汚染の緩和など社会に計り知れない利益をもたらすという。 by Jamie Condliffe2017.11.09
ハーバード大学のジョン・ホルドレン教授は、ホワイトハウスの顧問を務めていた間、米国の多くの主要な気候変動政策の立案を促進した。ホルドレン教授はクリーン・パワー・プラン(電力事業者向けの二酸化炭素排出削減に関する政策)をまとめ、米国のパリ気候協定批准を主導した。しかし、ドナルド・トランプが大統領に選出されて以降、次々と発令された大統領令のため、こうした取り組みは振り出しに戻ろうとしている。
11月7日、ホルドレン教授はMITテクノロジーレビュー主催のEmTechカンファレンスで、トランプ大統領に代わって最もやっかいなのは、 連邦政府が支出する研究費だと指摘した。オバマ前大統領と19カ国の指導者らは、パリ気候協定の一環として、クリーン・エネルギー研究への出資額を倍増すると誓った。しかし、トランプ大統領は政府のエネルギー研究開発費を半分に削減すると述べている。
予算削減はクリーン・エネルギーの未来を左右するエネルギー分野の進歩を損なうものだと、ホルドレン教授は警告した。特に、前途有望な技術である二酸化炭素の回収・貯蔵、航空機用クリーン・バイオ燃料、次世代型原子炉はいずれも現在は商品化には程遠く、今後数年間にわたって予算が割当てられない場合、実現しない恐れもあると述べた。
トランプ政権の政策は短絡的だ、とホルドレン教授は語る。「私たちは技術革新を短期的には過大評価し、長期的には過小評価しがちです。気候変動による大きな経済的な損害から身を守るために、世界総生産(GWP)の3%を使ったとしても、その資金はブラック・ホールに飲み込まれてしまうわけではないのです」。それどころか、雇用を増大させ、大気汚染を緩和し、その他の社会的な利益をもたらすのである。
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- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。