KADOKAWA Technology Review
×
ロボットは仕事を奪う、
でも新しい雇用も生む
ニュース Insider Online限定
A Job Plan for Robots and Humans

ロボットは仕事を奪う、
でも新しい雇用も生む

ロボットスタートアップのフェッチ・ロボティクスでは、約50人のスタッフと125体以上のロボットが働いている。ワイズCEOは、人間とロボット、どちらに対しても雇用の機会を増やしていくつもりだ。 by Tom Simonite2017.07.03

メロニー・ワイズがCEO(最高経営責任者)を務めるスタートアップ企業フェッチ・ロボティクス(Fetch Robotics)で働く特権の一つが、足が疲れた時にスクワット・ホイールのロボットに乗ってオフィス内を移動できることだ。だが、ワイズCEOと約50人の従業員は、世界中の倉庫や工場で使われるロボットのデザイン、組み立て、販売でいつも忙しそうだ。サンノゼに拠点を構えるフェッチ・ロボティクスのロボットは、既存の設備に手を加えることなく、安全に人間と一緒に働けるように設計されている。ロボットに必要なのは、作業場所の地図だけだ。ワイズCEOは、MITテクノロジーレビューが2015年に発表した35歳未満のイノベーターに選ばれた人物で、彼女が大学生の時に初めて組み立てたロボットのジッピー(Zippy)は、ベニヤ板とゴミ箱から見つけたコンピューターの部品で作られたものだ。ワイズCEOが、サンフランシスコ支局のトム・サイモナイト支局長とのインタビューに応じてくれた。

あなたのロボットは、人間の仕事を奪いますか?

私たちのロボットのせいで、仕事を失ったという人は1人もいません。お客様が私たちの製品を必要とするのは、ただ単に人手不足だからです。米国の離職率は年間で20%に上り、推定で60万の仕事が人手不足となっているのです。

たった今、この会議室の扉の前を通り過ぎていったロボットは、クッキーの箱を手にしていたかと思うのですが?

あれはスナック・ボットです。私たちは社内でも、市販用のソフトウェアを使っています。スラック(Slack)に「ロボット、お腹が空いた」などと書き込むと、クッキーを持ってきてくれますよ。ロボットを使うのは楽しいですし、わざわざキッチンまで行かなくてもすみますからね。それと、自社製品に対する親近感もわきます。

アームやグリップの付いたロボットの供給先を研究者だけに制限して、倉庫作業用に売り出さないのはなぜでしょうか?

現在、1ガロンの牛乳を持ち上げるのにかかるコストは約40,000ドルです。それは、荷物を持ち上げられるロボット・アームの製作費です。現在私たちが目指しているのは、コストの削減です。たとえば、モーターに使われる部品の数を減らすなどといったことに取り組んでいます。また、ロボットは実演訓練を通してプログラミングしています。基本的には、手作業でタスクを教えていますね。

人々は、あなたのロボットとどのような関係を築いていますか?

人はロボットに対して、必ずある …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. IU35 Japan Summit 2024: Nobuyuki Yoshioka 「量子コンピューターの用途解明、新たな応用へ」吉岡信行
  2. Why the next energy race is for underground hydrogen 水素は「掘る」時代に? 地下水素は地球を救うか
  3. AI crawler wars threaten to make the web more closed for everyone 失われるWebの多様性——AIクローラー戦争が始まった
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る