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早すぎたスマート・グラス、
AIエージェント時代到来で
ついに花開くか?
Sarah Rogers / MIT Technology Review | Images: Snap, Apple, Meta
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What’s next for smart glasses

早すぎたスマート・グラス、
AIエージェント時代到来で
ついに花開くか?

スタートアップから巨大テック企業まで、数々の企業が挑戦し、挫折を繰り返してきた「スマートグラス」。グーグルがグーグル・グラスの生産中止を決めてから10年。洗練されたデザインとAIエージェントによって、スマートグラスがついに一般消費者に受け入れられるようになるかもしれない。 by Rhiannon Williams2025.02.11

この記事の3つのポイント
  1. スマートグラスの有用性が高まり消費者向け製品として普及に期待
  2. メタとグーグルがAIエージェントを搭載したスマートグラスで覇権を争いへ
  3. 参入障壁は下がっているが消費者向け製品として成功するのは依然として難しい
summarized by Claude 3

ヒットして誰もが知るようになるガジェットが存在する一方で、その数十倍の数のガジェットが市場に受け入れられずに消えていく。今年は、グーグルがグーグル・グラス(Google Glass)の生産中止を正式に発表してから丸10年になる。複合現実(MR)製品(実質現実=VRヘッドセットのように視界を完全には覆わないフェイス・コンピューターのようなものを思い浮かべてほしい)は長い間、普通の消費者というよりもマニア向けの市場にとどまるだろうと思われていた。

それから10年が経ち、「スマートグラス」は今、(まだ自信を持って言えないが)クールなものになろうとしている。レイバンとの提携によって作られたメタ(Meta)のスマートグラスは、トム・クルーズが映画『卒業白書』で有名にした同ブランドの象徴的なサングラス「ウェイファーラー」とほぼ見分けがつかない。また、メタは最近、ファッション性の高い「オライオン(Orion)」拡張現実(AR)メガネのプロトタイプも披露した。一方、スナップは、第5世代の「スペクタクルズ(Spectacles)」を発表した。この2つはどちらも、大都市の最先端地区で着用していても場違いな感じがしない。12月にはグーグルが、名称未定の新たなアンドロイド・交差現実(XR)メガネのプロトタイプをお披露目した。また、アップルが今もまだ、長い間待ち望まれているメガネ製品のプロジェクトに取り組んでいるという噂も、引き続き飛び交っている。米国以外では、中国のテック大手であるファーウェイ(Huawei)、アリババ(Alibaba)、シャオミ(Xiaomi)、バイドゥ(Baidu)も、この市場の一角を狙って競い合っている。

より洗練されたデザインが、この新世代のメガネをより魅力的なものにしているのは間違いない。しかしより重要なのは、スマートグラスがついに有用なものになろうとしていることだ。そして、拡張されたスペックが次の大きな消費者向けデバイスのカテゴリーとなることに、巨大テック企業が賭けているのは明らかだ。そこでこの記事では、2025年以降のスマートグラスに期待されることを紹介しよう。

1. AIエージェントでスマートグラスはついに実用的なものになる

MRデバイスは数十年前から存在している。だが、その恩恵を受けてきたのは主に、医療、建設、技術的遠隔支援など、専門性の高い分野の業界だった。それらの業界はこれからも、おそらくより専門的な方法でこのデバイスを使い続けるだろう。マイクロソフトは、装着者の現実世界の環境にバーチャルなコンテンツを重ね合わせるデバイスの先駆者としてよく知られており、企業向けに「ホロレンズ(HoloLens) 2」スマートゴーグルを販売してきた。 同社は最近、このデバイスの生産を終了することを正式に発表した。その代わりに、オキュラス(Oculus)の創業者であるパルマー・ラッキーが立ち上げた最新のベンチャー企業、アンドゥリル(Anduril)と提携し、米軍向けヘッドセットの製造に注力することを選択した。

今、一般市民がついに、自分たちが使えるデバイスへのアクセスを手に入れようとしているのかもしれない。人工知能(AI)界は現在、エージェントをめぐる噂で持ちきりである。エージェントは、大規模言語モデル(LLM)の能力を増強し、モデルが自分自身でタスクを実行できるようにする。この12カ月で、テキストに加えて動画、画像、音声を扱うAIマルチモーダルLLMの能力が飛躍的に向上しており、以前は不可能だったスマートグラスの新しい用途が開かれていると、AR研究者のルイス・ローゼンバーグ博士は話す。ローゼンバーグ博士は1990年代にスタンフォード大学で、最初の実用的な拡張現実システムの開発に取り組んだ。

メタが間違いなくAIエージェントに関心を寄せていることは、すでに知られている。同社は9月に、高額になることを考慮して、Orionメガネのプロトタイプを一般に販売する予定がないことを表明した。だが、メタのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は、Orionを「これまでに作られた中で最も先進的なARメガネ」であると宣言し、メタのスマートグラスの …

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