MITTRが選ぶ、
日本発U35イノベーター
2024年版
MITテクノロジーレビュー[日本版]は、35歳未満の優れたイノベーターを表彰する「Innovators Under 35 Japan 2024」の受賞者を発表した。 by MIT Technology Review Japan2024.11.01
MITテクノロジーレビュー[日本版]は、世界的な課題解決に取り組む若きイノベーターの発掘、支援を目的とするアワード「Innovators Under 35 Japan 2024」の受賞者を発表した。5回目の開催となる本年度は、「コンピューター/電子機器」「ソフトウェア」「輸送(宇宙開発を含む)」「インターネット」「AI/ロボット工学」「通信」「エネルギー/持続可能性」「医学/生物工学」の8分野を対象として候補者を募集。起業家や研究者、活動家など10名のイノベーターを選出した。受賞者は翌年の「Innovators Under 35」グローバル版の審査対象にノミネートされる。
【告知】受賞者たちに直接会える「IU35 Japan Summit」にぜひご参加ください。
Innovators Under 35 Japan 2024受賞者 ※()内は分野名
- 伊藤 洋(AI/ロボット工学)
- 浅井 明里(AI/ロボット工学)
- 久保田 しおん(コンピューティング)
- 吉岡 信行(コンピューティング)
- アサバナント ワリット(コンピューティング)
- 塚本 紘康(輸送)
- キーリー アレクサンダー竜太(エネルギー/持続可能性)
- 孔 爽(エネルギー/持続可能性)
- 山岸 健人(医学/生物工学)
- 金井 仁弘(医学/生物工学)
受賞者についての詳しい情報、活動内容の紹介は、MITテクノロジーレビュー「35歳未満のイノベーター」をご覧ください。
35歳未満のイノベーター[日本版]
https://www.technologyreview.jp/l/innovators_jp/under35jp_2024/
小林 久(MITテクノロジーレビュー[日本版]編集長)コメント
「日本は変われるのか?」 2024年のいま、よく考えます。バブル期以降、長く続いたデフレの時代からインフレの時代に代わり、進歩が求められる時代が訪れています。しかし、日本人も日本の社会も、急速な変化には不慣れで十分には対応できていません。どこかに不安や臆病さを抱えながら、生活を送っているように思います。
Innovators Under 35は、その名称が示す通り、イノベーションを起こす若い人材を応援するアワードです。本国である米国版のMITテクノロジーレビューは創刊125周年を迎えましたが、技術という武器を使って、変化と革新を追い求めようとする姿勢は、こういう時代だからこそ求められることと言えるのかもしれません。
Innovators Under 35 Japanを通じて、我々MITテクノロジーレビューは、変化を恐れず、日本の未来を切り開いていく新しいイノベーターの登場を応援しています。
受賞者のみなさま、本当におめでとうございます。
◆◆◆
受賞者の発表にあたり、専門家審査にご参画いただいた審査員から、次のようなコメントが寄せられています。
Innovators Under 35 Japan 2024審査員コメント
浅川智恵子(日本科学未来館館長/IBMフェロー)
本年のノーベル賞では、これまでに例のないAIの分野で貢献した方々が受賞されました。AIの冬と言われる時代を乗り越えた彼らの功績が、今日のAIの発展を支えていることは間違いありません。今回受賞された皆さんの中には、量子コンピューターや素粒子物理学など、一般には成果が見えにくい分野に携わっている方もいらっしゃると思います。どうか人類の社会課題の解決に向けて、今後とも研究開発を継続してください。
谷口忠大( 京都大学大学院情報学研究科教授)
イノベーションが止まらない。AIとロボティクスの領域で進む変革がLLMや基盤モデルに駆動されている。主に米国と中国が牽引するイノベーションに日本はなんとか食らいつこうとしている。今回、初めてIU35の選考に関わった。IU35は業績だけではなく可能性への期待も込めて贈られるものだと思っている。これをスタート地点として、ぜひこれからの日本のイノベーションを牽引していただけたらと思う。
松尾亜紀子(慶應義塾大学理工学部教授)
今年も素晴らしい若者たちの存在を知ることができた。今の日本は長きにわたる不況と昨今の物価高によって閉塞感が漂っている。その中で、若者の活力や突破力に社会が期待していることも事実である。数多くの若きイノベーターたちの取り組みや活躍を拝読すると、本当に胸が躍るようであった。若きイノベーターには世界を舞台に活躍してもらい、日本の再生を心からお願いしたいと思う。おめでとう、君たちの将来を楽しみにしています。
Takashi Kiyoizumi(カリフォルニア大学サンディエゴ校日本センター JFITエグゼクティブ・マネージャー)
2024年度のMIT Innovators Under 35 Japanの医学・生物工学の部門の審査をさせていただきました。今年は例年以上に多くの応募をいただき、研究内容のレベルも高くなっています。応募者の皆様はそれぞれの専門分野で素晴らしい仕事をされており、甲乙つけがたい内容でした。今後もますますグローバルにご活躍されることを祈念しています。
畠 賢一郎(再生医療イノベーションフォーラム代表理事副会長)
受賞者の皆さん、おめでとうございます。私は医学・生物工学部門の審査を担当いたしました。今年は、バイオテクノロジーと他領域、特にデジタル技術とのシナジーがさらに深化したと感じました。応募いただいたすべての提案に独自の輝きがあり、社会実装する価値を持つ魅力的なものばかりでした。今後も、皆さんの柔軟な発想と幅広い視点を活かして、社会課題の解決に挑戦し続けてください。期待しています。
江守正多(東京大学 未来ビジョン研究センター教授)
気温上昇が1.5℃に差し掛かり、気候変動問題は切迫した状況です。現世代の行動に、人類の運命がかかっています。気候変動を止めるには、技術の変化と、ビジネスを含む社会経済の変化の両方が必要です。今年のエネルギー/持続可能性分野の受賞者は、片や材料工学で技術の変化を導く方が、片や経済学のデータを駆使して社会の変化を導く方が選ばれました。彼ら若い才能が大きな変化をつくり出してくれることを願います。
◆◆◆
11月20日(水)17時から東京・日本橋の日本橋ホールにて、受賞者の顔ぶれを紹介する「Innovators Under 35 Japan Summit 2024 in Nihonbashi 」を開催いたします。受賞者全員が活動内容をプレゼンテーションするほか、審査員による記念講演などを予定しています。本イベントは、現地会場に加えて、オンラインでもご参加いただけるハイブリッド開催となります(事前登録制)。お申し込み・参加方法については、申し込みページをご覧ください。
Innovators Under 35 Japan Summit 2024 in Nihonbashi
- 日時 2024年11月20日(水)17:00〜20:00
- 会場 日本橋ホール(東京都中央区日本橋二丁目5番1号 日本橋髙島屋三井ビルディング9階)
- 形態 リアルイベント+オンライン配信
- 内容 特別講演、授賞式/受賞者プレゼンテーション、懇親会
- 料金 会場参加:無料/懇親会:3,000円、オンライン配信:無料
- 主催 MITテクノロジーレビュー[日本版](運営:株式会社角川アスキー総合研究所)
- 協賛 一般社団法人クロスユー、三井不動産株式会社、株式会社電通総研
- 協力 株式会社紀伊國屋書店、一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン
- 詳細・申し込み Peatix
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- MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]日本版 編集部
- MITテクノロジーレビュー(日本版)編集部