KADOKAWA Technology Review
×
ニュース Insider Online限定
Gut Check: Scientists are Wary of At-Home Microbiome Tests

病気の兆候をアドバイスする月額制の腸内細菌検査サービス

腸内細菌を定期的に検査し、体調管理や病気の兆候をアドバイスする月額サービスが続々誕生している。しかし、病気を診断するほど精度は高くなく、「もっと健康的な食生活に心がけましょう」というアドバイスに、月額数千円をかける意味があるのか、懐疑的に捉える専門家もいる。 by Emily Mullin2017.03.28

腸内にいるさまざまなバクテリアが人の健康や病気に影響を与えていることがわかり、家庭用医療検査キットに新たなトレンドが生まれつつある。

腸内細菌(人間の消化管内では、微生物が集まって「マイクロバイオーム」と呼ばれる複雑な生態系を形成している)を分析するサービスを提供するスタートアップ企業が誕生している。顧客は、郵送されてきた試験管に自分の便のサンプルを入れて送り返す。研究室で分析し、人によってそれぞれ異なる微生物構成を基に、食生活を提案したり、特定の病気のリスクを予測したりするサービスだ。

ただし、この種の検査では深刻な細菌の感染はわかっても、病気の診断まではできない、と専門家はいう。また、企業側が主張するような顧客別の情報を確実に提供できるのかにも疑問がある。

マイクロバイオーム研究の第一人者で、カリフォルニア大学サンディエゴ校のロブ・ナイト教授は「メーカーの熱意は、今の科学をかなり先走ってしまっています」という。またナイト教授は、腸の遺伝子情報を解読するクラウド・ファディング研究「アメリカ腸(American Gut)」プロジェクトの共同創設者でもある。

近年、体内の微生物生態系の変化が、胃腸障害や糖尿病、パーキンソン病など、さまざまな健康問題を引き起こすとわかってきた。新しい検査手法には大きな期待が寄せられており、ナイト教授は、将来的にはマイクロバイオームに基づいた診断方法が開発される可能性は大きいという。

スタートアップ企業のスライブ(Thryve)は2月から、マイクロバイオームを毎月検査する定期検査サービス(月額59.95ドルから)を始めた。スライブのリチャード・リン最高経営責任者(CEO)によると、同社のサービスは患者個人向けに腸内のバクテリア構成を示すレポートを機械学習で作成するという。レポー …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
  2. This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る