フラッシュ2024年5月14日
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気候変動/エネルギー
アラスカ山岳の氷河末端からメタン放出、JAMSTECらが検出
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]海洋研究開発機構(JAMSTEC)、国立極地研究所、アラスカ大学、森林総合研究所、北海道大学の共同研究チームは、米国アラスカ州の氷河流出水の表面付近において、空気中のメタン濃度、水中の溶存メタン濃度、水面からのメタン放出量の観測を実施。氷河底面からの流出水中に一般河川の2倍から40倍という高濃度の溶存メタンが含まれていること、および氷河融解水の水面付近では大気中のメタン濃度が高く(2~6ppm、1ppmは0.0001パーセント)、水面からメタンの放出が起こっていることを明らかにした。
氷河の融解水や、氷河表面や周辺に降った雨や融雪水は、氷河の割れ目などから底面に到達し、底面を流れて氷河の末端から流出河川として流れ出す。研究チームは、2021年および2022年の2回、アラスカ州の山岳氷河域の4つの氷河を対象に、この流出水について、水面大気中メタン濃度、流出水中溶存メタン濃度、水面メタンフラックス(放出量)を観測。高濃度のメタンが放出されていることを検出することに成功した。
メタンは温室効果ガスの一つとしても注目され、温暖化対策としてメタンの放出量推定の精緻化が急務となっている。氷河末端域はこれまで、大気へのメタン放出源として考慮されておらず、同様の事例はグリーンランド氷床などで報告されていたが、山岳氷河の数多く存在するアラスカでは初めての観測事例となるという。研究論文は、サイエンティフィック・レポーツに2024年5月9日付けで掲載された。
(中條)
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