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中国テック事情:スタートアップの主役、ネットから気候テックに
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Three takeaways about the state of Chinese tech in the US

中国テック事情:スタートアップの主役、ネットから気候テックに

中国の産業界において、消費者向け巨大テック企業が世界的な表舞台のスポットライトから退く中で、気候テック企業が隆盛してきている。だが、米国と中国が緊張関係にある現在、こうした企業は米国内で政治的な反感を買いやすい状況にある。 by Zeyi Yang2024.05.07

この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。

太陽光パネルの分野で中国企業がいかに支配的になっているかを知って以来、私は太陽光パネルの世界についてもっと知りたいと思ってきた。関連技術の多くは米国で発明されたが、現在、世界の太陽光パネルの約80%は中国で製造されている。工程の一部では、中国がもっと多い割合を占めている。 たとえば、ウェハー製造では97%だ。

だから私は先ごろ開かれた会議で、世界最大級の太陽光製造会社の1つ、カナディアン・ソーラー(Canadian Solar)の創業者であるショーン・クー会長にインタビューする機会に飛びついた。

カナディアン・ソーラーは、世界の太陽光発電のサプライチェーンを再構築し、その多くを米国内に戻そうとする米国の幅広い取り組みについて、有益な視点を提供してくれる。同社の生産の大部分はまだ中国と東南アジアにあるが、インフレ抑制法( Inflation Reduction Act)のインセンティブが弾みとなって、現在米国内に2つの工場を建設している。インタビュー記事はこちらからお読みいただきたい。

私はマサチューセッツ州ケンブリッジでクー会長に会った。クー会長は現地で、多くの中国人起業家が参加し、毎年2日間にわたって開催される会議、ハーバード・カレッジ・チャイナ・フォーラムに出席していたのだ。私もそこで中国のハイテク企業の代表者たちに会うことを期待して参加した。

会議で私は3つの興味深いことに気づいた。

1つは、中国の消費者向けテック企業が明らかに少なかったことだ。ティックトック(TikTok)の米国在住の経営者1人を除いて、アリババ(Alibaba)、バイドゥ(Baidu:百度)、テンセント(Tencent)、バイトダンス(ByteDance)からは、誰も見かけなかった。

中国人の日常生活に大きな影響力を持つこれらの企業は、かつては中国のテック業界をめぐる議論の主役だった。もし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの前にハーバード・カレッジ・チャイナ・フォーラムに来ていたら、これらの企業の代表者や、彼らの成功に資金を提供したベンチャー・キャピタルにたくさん会ったことだろう。シャオミ(Xiaomi)、アント・フィナンシャル(Ant)、ソゴウ(Sogou)、セコイア・チャイナ(Sequoia China)、ヒルハウス・キャピタル( Hillhouse Capital)の幹部など、過去の登壇者リストを見るだけでもそのことが分かる。中国のテック業界におけるマーク・ザッカーバーグやピーター・ティールに相当する人たちだ。

しかし、これらの企業は、いくつかの主な理由によって、それ以降ずっと目立たない存在になっている。第一に、これらの企業は、中国政府が彼らを管理することを決定した後、国内で厳しい取り締まりを受けた。(私は最近、この取り締まりを理解するために、中国のテック規制を研究する法学准教授、アンジェラ・チャンに話を聞いた。)そして、これらの企業は米国では国家安全保障の監視対象になっており、あまり表舞台に出ることは政治的に好ましくないのだ。

この会議で気づいた2つ目のことは、これらの企業の代わり、つまり、新しい中国企業グループは、そのほとんどが気候系テック企業だったことだ。中国の電気自動車(EV)スタートアップ企業ニオ(NIO)のウィリアム・リーCEO(最高経営責任者)は、今年の会議の開会式で最も人気のあるゲストスピーカーの1人だった。少なくとも3つの太陽光パネル企業が出席していた。JAソーラー(JA Solar )とカナディアン・ソーラーは世界トップクラスのメーカーであり、3社目はラテンアメリカにソーラーパネルを販売している。また、電気自動車やその他の電動化された輸送手段の分野で活動する学者や投資家、さらにはインフルエンサーも大勢いた。

気候変動への対応がますます急務となる中、中国の気候テック企業が新たな主役となったことは明らかだ。そして、これらの企業は世界の舞台に出ることを強く望んでおり、自分たちの技術的優位性を誇示するとともに、新たな市場を求めている。

「中国の起業家たちは非常に熱心です」と、マサチューセッツ工科大学(MIT)で都市交通を研究するジンフア・ジャオ教授は言う。ジャオ教授は、今回の会議でも講演している。「これらの企業は海外進出したがっています。中国政府側も、外国の指導者や金融業界を中国に招き、シグナルを送り始めたと思います。多くの動きが見られます」。

しかし問題は、彼らが米国内で多くの政治的反感を買うようにもなっていることだ。バイデン政権は中国製自動車、主に電気自動車の調査を開始した。中国のバッテリー企業は、北米への工場設立に対する政治家の抵抗という地雷原を進んでおり、中国の太陽光パネル企業は高額の関税をかけられている。

2010年代半ば、中国の消費者向けテック企業が世界的舞台に登場した頃、米国と中国は良好な関係にあり、歓迎的な環境ができていた。残念なことに、気候テック企業は今日、このような環境を享受できていない。気候変動がグローバルな問題であり、各国が協力する必要があるとはいえ、政治的な緊張が、対立する立場にある企業や投資家が協力しようとするときに邪魔をするのだ。

その点について言えば、私がこの会議で最後に注目したのは、テック業界における地政学的な力の高まりである。ここで注目されるのは中東だ。会議の登壇者のうち数人は、サウジアラビアとアラブ首長国連邦で働いており、米国と中国の両方でEVやAI(人工知能)などのテクノロジーに賭けている他の資金力のあるプレーヤーを代表している。

しかし、彼らは緊張関係をうまく乗り切り、双方の技術的優位性から利益を得ることができるのだろうか?今後の展開を見るのが面白そうだ。


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顔認証、上海のホテルで異変

昨年まで、中国のホテルではチェックインの際に顔認証が必要なのが普通だったが、中国の21世紀経済報道紙によると、上海市は現在、この慣行に反対しているという。上海市警察局は最近、宿泊客が身分証明書を持っていない場合に限り、「顔のスキャン」が求められるという通達を発表した。それ以外の場合は、客には拒否する権利がある。上海のほとんどのホテルチェーンと他の都市の一部のホテルチェーンは、これを受けてポリシーを更新した。

中国には政府のIDシステムと結びついた全国的な顔認識データベースがあり、ホテルなどの企業はこれにアクセスして顧客の身元を確認できる。しかし、中国人はこのような場面での顔認証の必要性に反発を強めており、ホテルがこのようなセンシティブな生体認証データを適切に扱っているかどうか疑問視している。

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ヤン・ズェイ [Zeyi Yang]米国版 中国担当記者
MITテクノロジーレビューで中国と東アジアのテクノロジーを担当する記者。MITテクノロジーレビュー入社以前は、プロトコル(Protocol)、レスト・オブ・ワールド(Rest of World)、コロンビア・ジャーナリズム・レビュー誌、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙、日経アジア(NIKKEI Asia)などで執筆していた。
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