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中国テック事情:もう1つのロボタクシー先進国、中国の新事情
Kevin Frayer/Getty
How China is regulating robotaxis

中国テック事情:もう1つのロボタクシー先進国、中国の新事情

ロボタクシーは今のところ、中国の数都市でのみ利用できる。しかし、国の規制による統制が始まっている。 by Zeyi Yang2024.01.29

この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。

この1年、ロボタクシーほど激しい浮き沈みを経験したテクノロジーはあまりないだろう。サンフランシスコの街に登場したロボタクシーは新たな花形的存在だったが、業界のリーディングカンパニーの1つであるクルーズ(Cruise)の車両が関わる重大事故が起きたことで、わずか数カ月の間に国中を巻き込んだ大騒動に発展してしまった。

本誌は先日、ロボタクシー業界の今後の展望を考察する記事を公開した。ロボタクシー企業は昨年失われた社会的信用の回復に加えて、現実的なビジネスモデルを見つける点でも苦労している。ロボタクシーはもはや非現実的な驚くようなアイデアではない。だが、まだ完全には実現可能なビジネスにもなっていないのだ。

前の記事は主に、クルーズの車両事故が発生したことで最も先行き不透明になった米国の状況に焦点を当てている。この記事ではクルーズやウェイモ(Waymo)の同業者となる中国企業の最新情報をお届けしたい。

自律運転技術に関して、米国と中国は似たようなタイムラインで進んできた。それぞれの企業は米国と中国という異なる市場で事業を展開しており、両国で事業を展開するロボタクシー企業はないため、直接比較するのは難しい。ただし、一部の中国企業は米国に研究所を設立し、そこで自社の車両をテストしている。

だが、両国では非常に多くの動きが並行して起きている。この2年間で両国の規制当局は、車両へのセーフティ・オペレーター同乗なし(完全無人)での運行、有料での運行、空港でのサービス提供、24時間365日の営業、といった事業拡大を認める許可を企業に与えてきた。

つまり、中国でも米国と同じくらい、ロボタクシーが利用しやすいものになっているということだ。ロボタクシーを試してみたければ、中国では街頭で自動運転車に乗れる都市がいくつかある。ただし、 実際に普通の通勤で利用することは、まだできない。

そして現在、米国と中国のロボタクシー企業は、どちらも収益を上げ始める必要に迫られている。ロボタクシーには高度なハードウェアとソフトウェアが搭載されていること、およびそれらを操作・保守するためにまだ人間の介入が必要なことを考慮すると、今のところロボタクシーを利用するコストは、普通のタクシーを利用するよりもはるかに高い。そのため、このビジネスは規模拡大が難しくなっている。

中国の自動車メーカー各社が突然、(テスラのFSDに似た)オートパイロット機能を積極的に展開し始めたことに気づいたのは、2023年の夏のことだ。その積極的な動きの背景にある理由の1つは、中国の自律運転企業がよりすばやく収益を上げたがっていることだとわかった。ロボタクシーのような完全自律運転車自体で収益が上がるのを待つよりも、その技術をパッケージ化した運転支援システムとして今すぐ市場に売り込みたかったのだ。

両国におけるロボタクシーの展開の違いは、規制と関係がある。中国の規制当局は、現場介入型アプローチと、新たなテクノロジーを早期に統制する傾向で知られている。ロボタクシーも例外ではなかった。

2023年12月、中国で初めて、自律運転車の商業運用に関する規制が施行された。この規制は、さまざまな種類の車両に対するいくつかの基本ルールを定めている。たとえば、ロボシャトルやロボトラックにはまだ車内にセーフティ・オペレーターを配置することが必要だが、ロボタクシーは遠隔操作のオペレーターを使える。ロボタクシーと遠隔オペレーターの比率は3対1を超えてはならず、オペレーターは一定の技能試験に合格する必要がある。また、事故が起きた場合に企業が報告すべきデータを定めている規定もある。

あらゆる規制の始まりと同様に、この規制も試行錯誤段階にあり、現時点ではまだ比較的抽象的に見える。しかし、この規制によって中国は米国の一歩先を行くことになる。米国ではロボタクシーに関する国内法の制定にもっと時間がかかる可能性があり、今のところ各州がそれぞれ個別に取り組んでいる状況だ。異なる規制アプローチが今後、この業界にどのような影響を与えるのか、興味深い。

関連して、米国と中国のロボタクシー企業が、それぞれの本拠地ではなく中東で直接競争する姿を間もなく見られるかもしれない。アラブ首長国連邦の首都アブダビでは、中国企業ウィーライド(WeRide)製のロボタクシーによる無料の試験乗車サービスが実施されてきた。アブダビから車で2時間の距離にあるドバイでは、クルーズ製のロボタクシーも試験走行中だ。 米国でクルーズ車両の路上走行が停止されているのとは対照的である。

もしかすると、中国のロボタクシーと米国のロボタクシーの両方に乗れる日がまもなくやってくるかもしれない。そうなればぜひその結果を知りたいものだ。

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一度は石炭への依存を軽減すると決めた中国が、再び石炭の生産と消費を増やしている。中国メディアの財新によると、中国は2023年に46.6億トンの石炭を生産し、過去最高の生産量に達した。また、2023年に4.7億トンの石炭を輸入しており、前年比で61.8%増加した。これも過去最高である。

2020年当時、中国政府は石炭発電所を段階的に廃止する措置を講じていた。しかし、ロシアとウクライナの戦争が世界のエネルギー価格を押し上げ、中国の再生可能エネルギーへのシフトが国内経済の安定を乱す可能性があるかどうか、不透明になった。その結果、中国ではここ数年で新たな石炭発電所の建設着工が増え、石炭の消費と生産を回復させている。

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ヤン・ズェイ [Zeyi Yang]米国版 中国担当記者
MITテクノロジーレビューで中国と東アジアのテクノロジーを担当する記者。MITテクノロジーレビュー入社以前は、プロトコル(Protocol)、レスト・オブ・ワールド(Rest of World)、コロンビア・ジャーナリズム・レビュー誌、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙、日経アジア(NIKKEI Asia)などで執筆していた。
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