フラッシュ2023年12月14日
-
コンピューティング
幻の素粒子「マヨラナ粒子」の量子テレポーテーション現象を解明
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学、東京大学などの共同研究チームは、特殊な磁性体中に存在する「マヨラナ粒子」の量子もつれを利用した、量子テレポーテーション現象を理論的に解明した。
素粒子の1つとして1937年に理論提案されたマヨラナ粒子は、電気的に中性で、粒子と反粒子が同一という性質を持つとされているが、実験的にはまだ発見されていない。特殊な磁性絶縁体中では、強い量子もつれ状態として実現することが予言されているが、それを実験で測定する方法は不明であった。
研究チームは今回、物質中のマヨラナ粒子の量子もつれを介して、遠く離れた2つの電子スピンが互いに情報をやりとりする量子テレポーテーション現象が起こることを、解析的な理論計算と数値シミュレーションを組み合わせることで解明。さらに特殊な顕微鏡を用いることで、この現象が電気的に測定可能であることを示した。この測定は、物質中のマヨラナ粒子の探索や、物質中のマヨラナ粒子を用いた「トポロジカル量子コンピューター」の実現に貢献することが期待される。
研究論文は、米国科学誌フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)に2023年12月5日付けでオンライン掲載された。
(中條)
-
- 人気の記事ランキング
-
- These AI Minecraft characters did weirdly human stuff all on their own マイクラ内に「AI文明」、 1000体のエージェントが 仕事、宗教、税制まで作った
- Google’s new Project Astra could be generative AI’s killer app 世界を驚かせたグーグルの「アストラ」、生成AIのキラーアプリとなるか
- Bringing the lofty ideas of pure math down to earth 崇高な理念を現実へ、 物理学者が学び直して感じた 「数学」を学ぶ意義
- We saw a demo of the new AI system powering Anduril’s vision for war オープンAIと手を組んだ 防衛スタートアップが目指す 「戦争のアップデート」