フラッシュ2023年10月24日
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気候変動/エネルギー
CO2排出量8割減のコンクリート開発、関西万博で適用
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]竹中工務店などが参加する業界コンソーシアム「CUCO(クーコ)」は、二酸化炭素(CO2)を削減・固定・吸収するコンクリート「CUCO-建築用プレキャスト部材」を開発した。製造段階で排出されるCO2を、一般的なコンクリートと比較して80%以上削減できるという。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のパビリオンワールド メッセ イベントホール棟(仮設建築物)の基礎部材として初めて適用する。
同部材の開発に適用した主な要素技術は、(1)CO2排出量を削減する技術、(2)CO2を固定する技術、(3)CO2を吸収する技術の三つ。(1)は、CO2排出量の少ない高炉スラグ微粉末を用いたセメントを普通セメントに代替することでCO2排出量を60%程度削減する技術、(2)は、コンクリート解体材に含まれるカルシウム分にCO2を固定させ、コンクリート用骨材や微粉として使用することでCO2を貯留する技術、(3)はCO2を効率よく吸収し、硬化体を緻密化する特性を持つ特殊混和材をセメントに混合して、硬化後にCO2を吸収・固定する技術である。
今回は開発した部材は、(1)+(2)によって実現した2種類、(1)+(3)、(1)+(2)+(3)の合計4種類。これらはいずれも、製造段階で排出されるCO2排出量を一般的なコンクリートと比較して実質80%以上削減できる。関西万博で実際の建築物に初めて適用し、万博終了後は引き続き、資源循環利用の技術検証を実施し、実環境で適用した後の長期的なコンクリートの強度や耐久性などの特性変化の調査にも活用する。
(中條)
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