KADOKAWA Technology Review
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エネルギー/持続可能性
Vichhika Tep
35歳未満のイノベーター35人 2023エネルギー/持続可能性
気候危機は多様な角度からの回答を求めている。イノベーターたちは、二酸化炭素回収、電池製造、送電網の管理といった問題を解決しようと取り組んでいる。

Peter Godart ピーター・ゴダート (30)

所属: ファウンド・エナジー(Found Energy)

廃棄されたアルミニウムをエネルギー源として利用する化学プロセスを発明。リサイクルの方法を確立し、あらゆる産業で使用される持続可能な燃料への転用目指す。

毎年、何百万トンものアルミニウムが埋立地に捨てられている。ピーター・ゴダートにとって、廃棄されたアルミニウムは有用な素材であるだけでなく、エネルギー源でもある。

今日の世界のエネルギー源である燃料と同じように、アルミニウムもまた化学反応を起こすことでエネルギーを放出する。ゴダートは、アルミ廃棄物が持つエネルギーを、重工業のよりクリーンな代替エネルギーとして活用したいと考えている。その実現のために発明したのが、アルミニウムを水と組み合わせることで分解する化学プロセスである。このプロセスで発生する熱と水素は、いずれもエネルギー源として利用できる。

この発明を実用化するため、ゴダートは2022年にファウンド・エナジー(Found Energy)を立ち上げた。同社はアルミニウムのメーカーと提携することを計画しており、アルミのスクラップから回収したエネルギーを工場操業の一部に充てたいと考えている。

ゴダートの思い描くビジョンは、アルミニウムの新たなリサイクル方法を確立し、あらゆる産業で使用される持続可能な燃料に転用することだ。アルミニウムは、1立方メートル当たり、同量のディーゼル燃料の2倍に相当するエネルギーが含まれている。そのため、今日、多大なエネルギーを必要とする長距離船舶や、工業プロセスのエネルギー源として利用できる可能性がある。

(ケイシー・クラウンハート)

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