レアアース(希土類元素)はより多くの電気自動車を製造したり、交通インフラを電化したりするのに不可欠だが、地球での資源量は極めて限られている。レアアースを抽出するには多大なエネルギーが必要であり、多額の環境コストもかかる。
レアアース元素をもっと見つけるために、地球外に目を向け始めている人々もいる。宇宙で重工業を立ち上げる話もあるほどだ。しかし、いずれにせよ、もっと多くの宇宙飛行士を遠い惑星や小惑星に送らなければならない。そして今のところ、深宇宙旅行に使われるロケット推進剤のコストは法外に高い。
34歳のフォレスト・マイエンは、「有人宇宙飛行の頻度を増やす」という夢の実現に生涯の情熱を注いでいる。宇宙技術企業ルナ・アウトポスト(Lunar Outpost)の共同創業者であるマイエンは、マサチューセッツ工科大学(MIT)で航空学と宇宙航行学の博士号を取得した。そして今、彼の活動が宇宙探査のコストを下げ、宇宙採掘産業を促進するのに役立つ可能性がある。
マイエン共同創業者は過去8年間、「モキシー(MOXIE)」というトースターほどの大きさのデバイスを開発するチームの一員だった。2021年、モキシーは米国航空宇宙局(NASA)の探査車(ローバー)「パーサヴィアランス(Perseverance)」に搭載されて火星へ行き、二酸化炭素を主成分とする火星の大気サンプルを酸素に変換することに成功した。
他の惑星の天然資源を人間が利用できるように、ロボット・システムを利用したのはこれが初めてのことだ。人類が主導する火星探査に向けた重要な一歩である。
これと同じシステムが将来、火星からの帰還ミッション用のロケット推進剤製造のために使われる可能性があり、NASAは数十億ドルを節約できる見込みだ。「火星までの往復旅行が実現可能です」とマイエン共同創業者は話す。しかし、太陽からの強力な放射線から宇宙飛行士を守る方法や、火星の土壌で作物栽培ができるかなど、解決すべき課題はまだ山積みだ。
現在、マイエン共同創業者はNASAと協力し、未踏の地である月の南極を探査する初の「月面探査車ミッション」に専念している。このミッションは2023年後半に実施される予定だ。マイエン共同創業者とチームは、探査車が水を検出し、その水をロケット推進剤の製造や月の土壌サンプル採取に利用できる可能性に期待している。
(リアノン・ウィリアムズ)
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