KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
気候テック15:究極の省エネ・エアコン「ブルー・フロンティア」
Blue Frontier
気候変動/エネルギー Insider Online限定
2023 Climate Tech Companies to Watch: Blue Frontier and its energy-efficient AC

気候テック15:究極の省エネ・エアコン「ブルー・フロンティア」

気候変動の影響により、空調システムの需要が世界的に高まっている。MITテクノロジーレビューが選ぶ「気候テック企業15」の1社であるブルー・フロンティアは、代替冷媒と乾燥剤を活用して、より効率的な空調システムを提供するスタートアップ企業だ。 by Amy Nordrum2023.10.16

地球の気温が上昇すると、さらに何百万人もの人々が、ただ生きるために空調システムを必要とするようになる。また、気候が穏やかな地域に住む人々も、自宅や職場を快適に保つためにますます空調システムに頼るようになるだろう。

国際エネルギー機関(IEA)の推計によると、この需要増に対応するために、2050年まで毎秒10台のペースで新しい空調システムが売れることになるという。見方を変えると、空調システム自体が温室効果ガスの大きな発生源となるため、テクノロジーが向上しない限り気候変動が悪化してしまうことになる。

ブルー・フロンティア(Blue Frontier)には、有望な解決策が1つある。同社の空調システムは、湿度低下と空気冷却をそれぞれ別の仕組みで実現するのだ。空間の湿度管理は、温度管理と同じくらい人々が感じる快適さに影響するため、この仕組みは非常に重要だ。しかし、ほとんどの空調システムが優先しているのは空気冷却だ。しかも従来の湿度調整技術は、空気を冷却するときよりも多くの温室効果ガスを発生させる。

ブルー・フロンティアのアプローチには段階が2つある。まず、乾燥剤である塩分混合物が空気中の水分を吸い取って湿度を下げる。次に、乾燥した空気の一部が濡れた表面を通過する。すると水分が蒸発して乾いた空気中に戻り、空気の温度を下げる(このプロセスは「蒸発冷却」として知られる)。冷却された空気はシステム内の残りの空気を通過するため、残りの空気も冷却される。

ブルー・フロンティアによると、この仕組みにより空調ユニットの効率が従来の空調システムに比べて3倍になり、全体のエネルギー消費量を60%以上削減できるという。

基本データ

潜在的なインパクト

空調システムの効率は年々向上しているものの、依然として世界中で毎年排出される温室効果ガスの約4%を占めている。また、米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)の研究によれば、冷房による温室効果ガスの排出量は2050年までに5倍になる可能性がある。ブルー・フロンティアのテクノロジーは、空調システム …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る