フラッシュ2023年9月26日
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宇宙
最遠の銀河団のコアで銀河の急速な成長を観測=筑波大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]筑波大学、早稲田大学、名古屋大学などの研究者から成る共同国際研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とアルマ(ALMA)望遠鏡を使った観測により、最も遠い131.4億光年かなたにある原始銀河団の中でも、とくに銀河が密集している大都市圏に相当する「コア領域」を捉えることに成功。多くの銀河が狭い領域に集まることで、銀河の成長が急速に進んでいることを明らかにした。
研究チームはまず、JWSTの高い空間分解能でコア領域を観測。電離した酸素イオンの光を4つの銀河から検出し、この光の赤方偏移(宇宙膨張により光源の銀河が遠ざかっていることによる波長の伸び)から、4つの銀河の地球からの距離を131.4億光年と同定した。
次に、この領域について、アルマ望遠鏡で以前に取得された、塵の出す電波の観測データに注目。解析の結果、4つの銀河のうち3つから、塵の出す電波を検出した。銀河の中の塵は、銀河を構成する重い星々がその進化段階の終末期に引き起こす超新星爆発で供給されると考えられている。これらの銀河に多量の塵があることは、銀河内の第1世代の星の多くがすでに一生を終え、銀河の成長が進んでいることを示しているという。
研究チームはさらに、このコア領域に密集した4つの銀河が、どのように形成され、進化するのかを理論的に検証するため、銀河形成シミュレーションを実行。その結果、観測された天体と同じく、宇宙が誕生してから6.8億年のころに、狭い領域に密集した4つの銀河が形成されることを確認。数千万年という、宇宙の進化のタイムスケールとしては短い時間で合体し、より大きな銀河に進化することを示した。
研究論文は、天文学専門誌、アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)に2023年8月30日付けで受理された。今後掲載予定となっている。
(中條)
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