フラッシュ2023年6月13日
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日立、大規模集積に適したシリコン量子ビット制御方式を開発
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]日立製作所は、シリコン量子コンピューターの量子ビット(キュービット)を効率よく制御可能な「シャトリング量子ビット方式」を提案し、その効果を確認した。全ての量子ビットに演算・読み出し回路を接続する必要がなくなるので、シリコン素子の配線構造を簡略化できると同時に、隣接する量子ビットを退避させて演算することでエラーの影響を抑制できるという。
シリコン量子コンピューターは既存の半導体技術を利用できるため、大規模化に有利な方式と見なされている。だが、シリコン素子中に形成した「量子ドット」と呼ばれる微細構造に閉じ込めた電子のスピンを量子ビットとして用いるシリコン量子コンピューターでは、量子ビットを量子ドットの中から動かさないのが前提となっている。そのため、全ての量子ビットに演算・読み出し回路を接続する必要があることや、隣接する量子ビットの間でエラーが発生することなどが大規模集積化を阻む要因となってきた。
日立はこれまでに、シリコン量子ビットを格子状に配列させることで集積化を可能にする「2次元シリコン量子ビットアレイ」を開発してきており、同アレイ内の電子が移動可能であるという事実に着目。量子状態を維持して移動(シャトリング)させる新たな制御方法である「シャトリング量子ビット方式」を開発。シミュレータを構築し、大規模な量子演算において、同方式が従来の量子ビットを固定した方式に比べて高い量子計算精度を維持できることを確認した。量子ビットを移動させることによって任意の量子ビット間で演算することが可能となり、誤り訂正機能の実装容易化も期待されるという。
今回の技術については、2023年6月11日から16日にかけて京都で開催される「VLSIシンポジウム(Symposium on VLSI Technology and Circuits)2023」の基調講演(6月14日)で発表される。
(中條)
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