フラッシュ2023年4月28日
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自己免疫疾患の病態を悪化させる物質を発見=阪大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学、サーモフィッシャーサイエンティフィック、関西医科大学の研究グループは、自己免疫疾患の病態を悪化させる物質を発見した。研究グループはこれまでに、COMMD3とCOMMD8の2種類のタンパク質の複合体である「COMMD3/8(コムディー・スリー・エイト)」がB細胞の移動を促し、免疫応答を強めていることを解明している。しかしCOMMD3/8が、自己免疫疾患の病態変化でどのような役割を果たしているのかは分かっていなかった。
研究グループは今回、代表的な自己免疫疾患である関節リウマチのモデルマウスを作成し、モデルマウスの体内でCOMMD3/8を欠損させてみた。その結果、関節炎の進行を抑えることができた。この結果から、COMMD3/8が自己免疫疾患を悪化させていることが分かった。
研究グループはさらに、COMMD3/8の働きを抑える化合物を探索した。その結果、セラストロールという化合物を発見した。関節リウマチモデルマウスに投与してみたところ、COMMD3/8を欠損させたときと同じように関節炎の進行を抑えることができた。
セラストロールは抗炎症作用を持つ生薬であるライコウトウの主要な薬効成分だが、その薬理作用は十分に解明されてはいなかった。セラストロールを関節リウマチモデルマウスに投与した結果、関節炎の進行を抑えられたという結果から、セラストロールがCOMMD3/8を標的として自己免疫疾患の病態を改善することが分かった。
研究成果は4月1日、サイエンス・イミュノロジー(Science Immunology)誌に掲載された。今回の研究で発見したセラストロールを基に、COMMD3/8阻害剤を開発するなど、COMMD3/8を標的とした自己免疫疾患の新たな治療法の開発が期待できるという。
(笹田)
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