レーザー光線で
柑橘類を害虫から守る
「光学フェンス」
カンキツグリーニング病(黄龍病、HLB)を媒介するミカンキジラミをレーザー光線で撃墜する「光学フェンス」の実験が今夏始まる。フロリダではオレンジの収穫量が減っており、殺虫剤や木の交換に多額の費用がかかっているだ。 by Tom Simonite2017.03.01
フロリダの柑橘類農家は戦いの最中にある。「ミカンキジラミ」という昆虫の侵入により、果実の熟成を妨げる病気が広がり、オレンジの生産が2005年の半分以下の水準にまで減ったのだ。農家は農薬を散布し、病気になった木を引き抜いて対処しているが、そんなことでこの戦いには勝てない。ハイランズ郡の農家ジョン・バーベンは「本当にあいつらを駆除できるのか確信が持てないよ」という。
マイクロソフトのネイサン・マイヤーボルド元最高技術責任者(CTO)が共同創業者を務めるインテレクチュアル・ベンチャーズの考えでは、フロリダに寒冷予報が出されたことで、昆虫学的戦場は実証されていない害虫駆除手法のまたとない実験場として最適の条件がそろった。今夏、インテレクチュアル・ベンチャーズはフロリダ州にある米国農務省の敷地にカメラでミカンキジラミを認識し、レーザー光線で撃墜する装置を設置する計画だ。
この装置は、もともと世界の貧しい地域でマラリアを伝播させる蚊を駆除する方法として構想されてきたが、今回の最初の実地試験になる。インテレクチュアル・ベンチャーズは、何としても装置を商業用途に転用したい事情がある。
テクノロジーの商品化を担当するジェレミー・セイルジンは「弊社は商用化をあきらめていません。しかし、これらのシナリオに必要な価格にするには、多くの販売台数が見込める用途と、試作段階ではない製品が必要なのです」という。 …
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