フラッシュ2023年4月2日
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千葉大、血中の変性タンパク質を分解に導くタンパク質を発見
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]千葉大学の研究チームは、血中に豊富に存在するタンパク質「α2マクログロブリン」が、血中の変性タンパク質を細胞内に運び、分解に導くことを明らかにした。変性タンパク質が体内に蓄積することでアルツハイマー病などの疾患が発症することが分かっているが、変性タンパク質を除去する分子機構の解明が進んでいないため、治療法は確立されていない。
研究チームはα2マクログロブリンに緑色蛍光タンパク質(GFP:Green Fluorescent Protein)と赤色蛍光タンパク質(RFP:Red Fluorescent Protein)を付加した「a2M-RFP-GFP」を利用して、細胞内のリソソームで分解されたα2マクログロブリンを蛍光検出できる取込みアッセイ法を開発。この手法でα2マクログロブリンの動きを調べたところ、細胞外シャペロンとして変性タンパク質と複合体を形成した後、細胞内に取り込まれて変性タンパク質をリソソームに分解させていることを発見した。シャペロンは、折りたたみが不完全なタンパク質に結合し、凝集体化を抑制するタンパク質を指す。
この研究チームは以前、クラステリンという細胞外シャペロンが細胞外変性タンパク質をリソソーム分解に導くことを明らかにしているが、クラステリンとα2マクログロブリンを比較すると、α2マクログロブリンは凝集性が高い変性タンパク質への指向性が強く、クラステリンは幅広い範囲の変性タンパク質に指向性があることが分かった。
研究成果は3月28日、サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)誌にオンライン掲載された。今回の研究で、細胞外シャペロンが基質指向性の違いを持っていることが分かった。この基質指向性を人工的に改変することで、疾患の原因となる特定のタンパク質を狙って除去する新しい治療法の開発が期待できるとしている。
(笹田)
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