フラッシュ2023年3月6日
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地球温暖化に伴う超高層大気の収縮をX線観測で解明=埼玉大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]埼玉大学や京都大学などの共同研究グループは、X線天文衛星を用いて、地球大気の中間圏・下部熱圏(高度70~115キロメートル)領域の大気密度の長期変動を測定し、同領域の大気が1年に約0.5%のペースで希薄化していることを明らかにした。
研究チームは、天体からのX線を観測するX線天文衛星による天体観測と地没が切り替わる一瞬、天体からのX線が、地表すれすれに大気中を長い距離走って観測装置に到達することに着目。この際のX線の減衰率から大気密度を計測できることに気づいた。
観測対象には、天体からのX線減として極めて明るく、かつ光度が安定している超新星爆発の残骸である「かに星雲」を選定。日米5基のX線天文衛星が1994年から2022年にかけて取得した観測データを用いて、地球大気の影響を受けた時間帯における、かに星雲の光度変化を調べることで、各高度における大気密度を定量的に評価した。観測データから得られた密度低下ペースは、温室効果ガスの増加を考慮した最先端の大気シミュレーションの予測と整合しており、独自アプローチによる過去になく高い信頼度であるという。
地球温暖化に伴い、高度20キロメートル以上の上空大気は寒冷化し、収縮すると考えられている。この大気収縮は理論的には半世紀以上前に示されていたが、それを実証する数十年スケールの観測データは乏しく、特に収縮が最も激しいと予測される中間圏・下部熱圏領域においてはほとんど無かった。
今回の成果は、米国の地球物理学専門誌、ジャーナル・オブ・ジオゴラフィカル・リサーチ:スペース・フィジックス(Journal of Geophysical Research: Space Physics)に2023年2月21日付けで掲載された。
(中條)
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