フラッシュ2022年12月20日
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微小な地磁気変動を地上で観測、宇宙天気予報に一役=名大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]名古屋大学と愛知製鋼の共同研究チームは、「磁気インピーダンス効果(MI効果)」と呼ばれる原理を用いたセンサーで、地球磁場を計測するための観測システムを開発。地上に設置し、地球磁場の大きさの約10万分の1という非常に微弱な地磁気変動を捉えることに成功した。
磁気インピーダンス効果とは、アモルファス(結晶のような整然とした秩序はないが、局所的には秩序性がある状態)ワイヤーにパルス電流を通電するとき、インピーダンスが外部磁界によって高感度に変化する現象である。研究チームは、同効果を用いて愛知製鋼が開発した「MI磁気センサー」を改良して、地球磁場の精密な計測に最適化した観測システムを作成。京都府北部の京丹後市峰山町で約1カ月間、屋外に設置して継続観測をした結果、地球磁場の大きさの10万分の1程度の地磁気変動を、多数捉えることができた。
宇宙空間で生じているさまざまな現象は、プラズマ中の電磁波動として地球の磁場に沿って伝わり、地上では微弱な地磁気変動を引き起こす。今回の観測システムを使えば、地上に居ながらにして、宇宙空間で起こった現象を調査できる。低コスト・軽量・省電力であるため、複数箇所で地磁気の同時観測も容易であり、宇宙天気の研究を加速することが期待されるという。
研究論文は、米国地球科学連合の学術誌、「地球物理学研究誌・宇宙物理学(Journal of Geophysical Research-Space Physics)」のオンライン版に2022年10月14日付けで掲載された。
(中條)
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