ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の最初の写真、130億年前の銀河も
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が撮影した画像が初めて公開された。天空の小さな一部を切り取ったこの赤外線画像には、130億年以上前のものと思われる銀河も写っている。 by Jonathan O'Callaghan2022.07.15
米国のジョー・バイデン大統領が発表した、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が撮影した最初の画像では、地球からもっとも遠くにある銀河が紹介されている。
米国航空宇宙局(NASA)とともにホワイトハウスが公表した画像には、手を伸ばせば届きそうな砂粒のような、天空の小さな一部が写っている。その高い解像度は、JWSTの卓越した集光力によるものだ。そのおかげで、数千もの銀河を眺めることができるようになったのだ。もっとも遠くには、宇宙の夜明けから間もない130億年以上前のものと思われる銀河も写っており、手前にある巨大な銀河によって拡大されて見えている。
「宇宙の歴史を知るための新しい窓です」。バイデン大統領はこう述べた。「そして今、私たちはその窓から差し込む最初の光を見ようとしています」。
2021年のクリスマスに打ち上げられた100億ドルのJWSTは、これまでに宇宙に送り出された望遠鏡の中で最も先進的なものだ。全長6メートルで、18枚の金メッキされた六角形型ミラーが特徴のこの赤外線望遠鏡は、米国、欧州、カナダが共同で開発した。ハッブル宇宙望遠鏡と比べても、はるかに遠くにある宇宙空間の天体を、より正確に観測できる。
エンジニアたちはこの数カ月間、テニスコート大の巨大な遮蔽板で太陽光から守られたこの機械を稼働させるために、不眠不休の努力を続けてきた。地球から月の軌道を越えた150万キロメートル離れた先に位置するJWSTは、その任務を遂行する準備を整えた。「これは夢ではないと、ずっと自分をつねって確かめ続けています」と欧州宇宙機関(ESA)のマーク・マコーリーン科学・探査担当上級顧問は言う。「とにかくびっくりするくらい、すばらしい出来なのです」。
バイデン大統領が7月12日公開した画像は、7月中に順次公開する4枚の画像のうちの最初の1枚で、残りの2枚は壮大な星雲とコンパクトな銀河群の画像だ。また、他の太陽系にある惑星の大気の予備調査をした5番目の観測の内容についても公開する予定だ。
シカゴ大学のウェンディ・フリードマン教授(天文学)は、「生まれて初めて眼鏡をかけるようなものです」と話す。セントルイス・ワシントン大学のポール・バーン准教授(天文学)は、この画像を宇宙空間に広がる星や惑星が位置する銀河の全容を明らかにするもので、「詩的」と表現した。
このテスト画像は、NASAとボルチモアの宇宙望遠鏡科学研究所(Space Telescope Science Institute)が運営する望遠鏡の実力を、わずかに垣間見られるものだ。JWSTが初年度に予定している科学的観測は、太陽系外惑星の詳細な研究、はるか遠く離れた銀河の調査、そして天空の奥深くのビッグバンそのものへの探査などが予定されている。
「この観測所で私たちは、これまでに見たこともないようなものを見ています」。メリーランド州グリーンベルトにあるNASAゴダード宇宙飛行センターのJWSTにおける主任ミッション・システム・エンジニアを務めるマイケル・メンゼルは、こう話す。「しかも、ほんの初期段階なのです」。
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- フリー宇宙ジャーナリスト