フラッシュ2022年9月6日
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				世界初、金星の気象データセット=慶應大などが作成by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]慶應義塾大学や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などで構成する共同研究チームは、金星大気に対するデータ同化システムに、宇宙航空研究開発機構の金星探査機「あかつき」から得られる観測データを適用することで、金星大気の客観解析データ(気象データセット)を世界で初めて作成。さらに、この客観解析データが、金星で観測されている惑星規模の大気波動(熱潮汐波)を全球的に正しく再現していることを確認した。 研究チームは以前から、金星大気の数値シミュレーションを実行する金星大気大循環モデル「AFES-Venus」の開発を進めており、金星における「大気スーパーローテーション」を再現・維持するなどの成果を挙げてきた。同チームは今回、「あかつき」で得られた高解像度かつ高頻度の水平風速の観測データを同モデルに取り込む「データ同化」により、風速・温度・気圧場を含む金星大気の全球にわたる客観解析データを作成することに成功した。データ同化には膨大な計算が必要になるが、研究グループは海洋研究開発機構のスーパーコンピューター「地球シミュレータ」を用いることでこれを実現した。 金星は厚い雲層によって空全体を覆われているため、内部の大気の運動についてはほとんどわかっていない。これまでに大気大循環モデルを用いた大気運動の数値シミュレーションが試みられてきたが、正確には再現できていなかった。 今回の研究成果は、英国の学術雑誌サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)のオンライン版に2022年8月26日付けで掲載された。 (中條) 
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