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米「中絶禁止」判決、メタ/グーグル/ツイッターの対応は?
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Big Tech remains silent on questions about data privacy in a post-Roe world

米「中絶禁止」判決、メタ/グーグル/ツイッターの対応は?

米最高裁の新判断を受け、米国の各州で中絶を禁止する州法が広がる中、大手テック企業は中絶関連のコンテンツをどう扱うのか? 対応をまとめた。 by Hana Kiros2022.07.08

中絶を憲法上の権利として正式に認めた判例を米国連邦最高裁判所が覆した後、米国の大手テック企業は、中絶が州法で禁止された州に住む従業員への支援体制を瞬く間に発表した。フェイスブックの親会社であるメタは、居住している別の州で中絶しなければならない従業員に対して旅費の支払いを約束した。グーグルの親会社であるアルファベットは、従業員に対して中絶を禁じる州から別の州の拠点への異動を申請できると発表した。

その一方で、中絶を希望する一般市民のWebサイト訪問履歴、携帯電話の位置データ、ソーシャル・プラットフォーム上のプライベート・メッセージなどのデジタル記録が刑事訴訟の証拠に使われるのではないかとの懸念が高まっている。ところが、ソーシャル・プラットフォームを運営するテック企業は、ユーザーに対する支援の姿勢を見せていない。

MITテクノロジーレビューは6月24日、アルファベット、メタ、レディット(Reddit)、ティックトック(TikTok)、ツイッターの主要5社に質問状を送付した。各社とも、違法行為を助長するコンテンツを禁止するポリシーを設けており、中絶の権利を擁護する内容や、今回の違憲判決によって州外で中絶しなければならなくなった人を支援する内容の投稿に対して、このポリシーがどう適用されるかを尋ねた。また、中絶を禁じる州で中絶に関連する事件の刑事訴追に使われる可能性があるデータに関して、提出要請、召喚状、令状に、どのように対応する予定かも問い合わせた。

アルファベットとレディットは、メールでコメントを複数回求めたにもかかわらず、6月27日夜の時点では一切回答が得られなかった。インスタグラムとワッツアップ(Whatsapp)も傘下に持つメタは、MITテクノロジーレビューに対して、州政府からの要請に関する既存のポリシーを参照するよう促す返答があったが、こうしたポリシーを中絶に対してどのように適用するのかとの質問には答えなかった。さらにメタは、中絶に関する情報の提供や、中絶の権利を擁護する内容のコンテンツに対して、どのようにモデレートするのかについても回答しなかった。

ティックトックは、中絶に関するコンテンツを規制することはしないと回答。ただし、法執行機関からデータ提出要請があった場合の対応については回答がなかった。ツイッターはサービス規約を参照するよう促す返答があり、同社の規則は一般的に中絶に関する議論を認めているとしたが、違法コンテンツやデータ提出要請に関するポリシーが中絶に対して具体的にどのように適用されるのかについては回答がなかった。

最高裁の判決によってただちに、ケンタッキー州、ルイジアナ州、サウスダコタ州で中絶が違法行為となり、中絶専門クリニックでは正午を期して患者を追い返す姿も見られた。米国の半数を超える州において、直接的に中絶を禁止するか、中絶に対して極めて厳しい制約を課す州法を制定することで実質的に中絶が禁じされると考えられている。

今回の違憲判決が下されてからの混乱がまだ収まっていない現状では、具体的に何が刑事罰の対象となる犯罪なのかは、法律的に曖昧な状態だ。ミズーリ州とサウスダコタ州の議員は、州境を越えて中絶をした住民を起訴するための法案をすでに提出している。

中絶を希望する人を支援する姿勢を示している企業は「引き続き、通信品位法230条による保護を受けられる」。こう指摘するのは、テクノロジーに特化した市民擁護団体「電子フロンティア財団(EFF)」の職員で、科学技術者でもあるデイリー・バーネットだ。通信品位法230条とは、プラットフォームに投稿されたコンテンツに関して、運営する企業が責任を問われない法律のことだ。しかしバーネットは、中絶の支援を違法として刑事罰の対象にする法律を恐れて、中絶関連のコンテンツに関して規制を強めるという間違った判断に傾く企業もあるかもしれないと指摘した。それには前例がある。2018年に成立した「性的人身売買撲滅法(Stop Enabling Sex Traffickers Act:SESTA=セスタ)」と「オンライン性的人身売買撲滅法(Fight Online Sex Trafficking Act:FOSTA=フォスタ)」の両法の施行によって、通信品位法230条の一部が改正され、「売春の助長または促進」に関連するコンテンツが保護対象から外されたからだ。

ほとんどの巨大テック企業は、法執行機関からのデータ提出要請に対してどのように対応するのか、違法コンテンツをどのように規制するのか、ポリシーを定めている。MITテクノロジーレビューは、グーグル、メタ、レディット、ティックトック、ツイッターに対して、最高裁が中絶違憲判決を下した現在の状況において、中絶に関連する投稿にこうしたポリシーをどのように適用するのか、具体的に質問した。

現時点で分かっていること、取材によって明らかになったことを以下にまとめた。

グーグルは利用規約において、(投稿者以外の)その他のユーザー、第三者、またはグーグル自身に害を及ぼす可能性がある法律に違反するあらゆるコンテンツを削除する権利を留保すると定めている。この規約は、メール、保存されたメディア、グーグル・マップ上の旅行日程、グーグル・ドキュメントなど、グーグルのサービスに幅広く適用される。

グーグルのポリシーは、ネットで他者に中絶について情報提供する人、中絶の権利を擁護する人、中絶が違法ではない州での中絶を希望する人にとって、プライバシーおよび安全性の面で大きな懸念が生じる。さらにこのポ …

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