フラッシュ2022年6月2日
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CO2資源化で成果、太陽光パネルの廃棄シリコンも活用=横国大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]横浜国立大学、産業技術総合研究所、東京工業大学の研究グループは、二酸化炭素と粉末シリコンを触媒で反応させることで、ギ酸やメタノールといった有用化学品を生成することに成功した。粉末シリコンは太陽光発電パネルの製造過程で排出されるシリコンウエハーから簡単に製造でき、廃材を有効活用しながら二酸化炭素の吸収にも役立つ研究となる。
研究グループはシリコンウエハーを粉砕し、粉末状にしたものに触媒となるフッ化テトラブチルアンモニウム(tetrabutylammonium fluoride:TBAF)を加え、二酸化炭素雰囲気下で混合して150℃で加熱した。その結果、二酸化炭素が消費されて、ギ酸が生成されていることを確認。反応容器に投入した二酸化炭素のうち最大で68%がギ酸生成に使われた計算になるという。さらに、反応条件を変えることで最高20マイクロモルのメタノールも合成できた。
シリコンを二酸化炭素と反応させて有用品を生成する研究はほかにもあるが、特別に調製したシリコンナノ粒子が必要であったり、猛毒であるフッ化水素を使わなければならないなど、手間がかかり難しい。今回の研究では廃棄されるシリコンウエハーを粉砕した粉末を使用でき、フッ化水素の代わりに安定なフッ化物塩を使えるため、従来の手法よりも手軽に利用可能だ。
研究成果は5月27日、「エネルギー・アドバンシズ(Energy Advances)」誌に掲載された。今回は廃棄予定のシリコンウエハを使用したが、使用済み太陽光発電パネルから回収したシリコンセルを使えるように研究を進めるとしている。
(笹田)
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