フラッシュ2022年4月22日
-
SAMeサプリの過剰摂取、体内時計に影響=京大
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]京都大学などの研究チームは、サプリメント「S-アデノシルメチオニン(SAMe)」の過剰摂取が生体リズムを狂わせることを発見した。SAMeは肝臓や関節の働きを助け、気分を上げると言われている人気のサプリメントだが、過剰摂取に伴う影響が検証されたのは初めて。
研究チームは、消化、代謝、⾷欲、免疫などの機能を調律する時計遺伝子(体内時計)とメチル化との密接な関連をすでに明らかにしている。SAMeは通常、人体の健康にとって重要な代謝経路であるメチルサイクルで内因的に生成されるが、サプリメントとして過剰に摂取するとメチオニンサルベージ経路で代謝され、メチルチオアデノシンとアデニンが過剰に合成される。今回の研究で、これら2種類の物質がメチル化の化学反応を抑制し、体内時計の働きが弱まり、生体リズム周期を延長させることが分かった。この変動は老化時に現れるものによく似ているという。また、メチルチオアデノシンは腎臓や肝臓を損傷するなど、さまざまな問題を引き起こす有毒物質でもある。
研究成果は4月5日、「コミュニケーションズ・バイオロジー(Communications Biology)」誌にオンライン掲載された。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- Bringing the lofty ideas of pure math down to earth 崇高な理念を現実へ、 物理学者が学び直して感じた 「数学」を学ぶ意義
- Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
- The 8 worst technology failures of 2024 MITTRが選ぶ、 2024年に「やらかした」 テクノロジー8選
- Google’s new Project Astra could be generative AI’s killer app 世界を驚かせたグーグルの「アストラ」、生成AIのキラーアプリとなるか
- AI’s search for more energy is growing more urgent 生成AIの隠れた代償、激増するデータセンターの環境負荷