フラッシュ2022年3月27日
-
医薬品製造に関わる酵素を機械学習で発見=神戸大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]神戸大学などの研究グループは、微生物を利用した医薬品製造において、未知の酵素を機械学習を使って発見することに成功した。医薬品に限らず、機能性素材や汎用化学品などにも応用可能な手法だという。
医薬品の多くは植物から抽出した化合物で作られているが、近年は植物由来の遺伝子を微生物に実装し、本来は微生物が作らない医薬品を製造する手法(合成生物学的アプローチ)が有望視されている。ただし、微生物で医薬品を生産するには多数の酵素反応の連鎖による長い代謝経路を構築する必要があり、しばしば植物由来の酵素が未知のものであるという課題があった。
今回の研究では、酵素反応を予測する機械学習アルゴリズムを開発し、予測モデルを利用することで、オピオイド鎮痛薬の前駆体化学物質であるベンジルイソキノリンアルカロイド(BIA)の生成に必要な酵素を発見した。微生物を使ったBIAの生産にも成功しており、今後は大量生産を目指す。研究成果は3月16日、「ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)」誌に掲載された。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- China wants to restore the sea with high-tech marine ranches 海に浮かぶ巨大施設、 中国が進める スマート海洋牧場の野望
- Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
- Trajectory of U35 Innovators: Masaki Nakada 仲田真輝:人工生命起業家が「魚の養殖」にピボットした理由
- Why EVs are (mostly) set for solid growth this year バブル崩壊も騒がれたEV市場、2025年はどうなる?
- IU35 Japan Summit 2024: Hiroshi Ito 「深層予測学習でロボットとAIのギャップを埋める」伊藤 洋