KADOKAWA Technology Review
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SHINSUKE SUGINO
IU35 Japan Summit 2021: Kai Narita

「脱炭素社会へ向けた蓄電池の基盤作りに取り組む」24M 成田 海

MITテクノロジーレビュー主催の「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」から、24Mテクノロジーズの成田 海氏のプレゼンテーションの内容を要約して紹介する。 by Koichi Motoda2022.01.13

MITテクノロジーレビューは2021年12月16日、「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」を開催した。Innovators Under 35は、世界的な課題解決に取り組む若きイノベーターの発掘、支援を目的とするアワード。昨年に続き2 回目の開催となる本年度は、35歳未満の起業家や研究者、活動家など15名のイノベーターを選出した。

その受賞者が集う本サミットでは、各受賞者が自らの取り組みへ対する思いや、今後の抱負を3分間で語った。プレゼンテーションの内容を要約して紹介する。

成田 海(24Mテクノロジーズ)※映像参加

私はハードウェア技術開発を軸にしており、カリフォルニア工科大学の博士課程では新しい材料技術開発に取り組んできました。そこでは、3Dプリント技術と熱処理を利用することで、炭素や金属、合金といったさまざまな材料をミクロで制御できる技術を開発しました。この技術は、イオン移動や化学反応がキーとなるデバイス分野への応用が期待されています。

その1つ、リチウムイオン電池の分野では、非常に難しいとされている電池電極の構造と電池性能の関係性の評価を解決するために、ミクロで三次元構造制御を行った3D炭素電極を利用し、電池特性評価の基盤技術を開発しました。リチウムイオン電池は、リチウムイオンの移動や化学反応がナノメートルからミリメートルのスケールで起きているのですが、3D炭素電極を軸にナノ分析技術や電気化学測定を組み合わせることで、マルチスケールでの電池特性評価を可能にしました。

こうした技術は、リチウムイオン電池だけでなくナトリウムイオン電池や燃料電池、フロー電池などにも使用可能なため、これからの脱炭素社会に向けた基盤技術となることが期待されています。現在私は、米国の電池会社24Mテクノロジーズに所属し、半固体電池セル製造技術の開発と、それによる蓄電池製造のプラットフォームの創出に取り組んでいます。今後も、プラットフォームとなる技術の開発を軸に活動していきたいと思っています。

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元田光一 [Koichi Motoda]日本版 ライター
サイエンスライター。日本ソフトバンク(現ソフトバンク)でソフトウェアのマニュアル制作に携わった後、理工学系出版社オーム社にて書籍の編集、月刊誌の取材・執筆の経験を積む。現在、ICTからエレクトロニクス、AI、ロボット、地球環境、素粒子物理学まで、幅広い分野で「難しい専門知識をだれでもが理解できるように解説するエキスパート」として活躍。
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