「生物多様性を守る取り組みをビジネスに」バイオーム 藤木庄五郎
MITテクノロジーレビュー主催の「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」から、バイオーム 藤木庄五郎氏のプレゼンテーションの内容を要約して紹介する。 by Koichi Motoda2022.01.11
MITテクノロジーレビューは2021年12月16日、「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」を開催した。Innovators Under 35は、世界的な課題解決に取り組む若きイノベーターの発掘、支援を目的とするアワード。昨年に続き2 回目の開催となる本年度は、35歳未満の起業家や研究者、活動家など15名のイノベーターを選出した。
その受賞者が集う本サミットでは、各受賞者が自らの取り組みへ対する思いや、今後の抱負を3分間で語った。プレゼンテーションの内容を要約して紹介する。
藤木庄五郎(バイオーム)
現在、およそ百万種類の生物が絶滅の危機にあり、あと100年間くらいで50%ほどの生物が絶滅すると言われています。私は、そういった生物の多様性を守る取り組みについては、きちんと仕組みを作り、ビジネスの世界に組み込んでいかなければ状況が変わらないと考えています。
実際に私が行なっている取り組みはとてもシンプルで、生物多様性をデジタル化したプラットフォームを作っています。全世界に40億台以上普及しているスマートフォンを観測拠点にして、そこから生物のデータを収集します。現在、生物コレクションアプリ「バイオーム」を提供し、生物を見つけたら写真を撮って図鑑にコレクションして楽しんでくださいと提案しています。写真を撮るだけではなく、撮った写真の生物の名前が分かるようなAIの開発も、大学と連携して進めています。今、バイオームは約40万人の方に使っていただき、すでに200万件以上のデータが集まっています。
こうした情報は自治体や省庁を含めて、自然環境保全の基礎データとして使ってもらっています。他にも、新たに自然環境を持続的に維持管理できるサービスを作っています。今後もAIを活用して画像や動画からどんどん生物のデータを集めてくる仕組みを作り、ビジネスとしてデータ収集や活用に取り組んでいきます。
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- 元田光一 [Koichi Motoda]日本版 ライター
- サイエンスライター。日本ソフトバンク(現ソフトバンク)でソフトウェアのマニュアル制作に携わった後、理工学系出版社オーム社にて書籍の編集、月刊誌の取材・執筆の経験を積む。現在、ICTからエレクトロニクス、AI、ロボット、地球環境、素粒子物理学まで、幅広い分野で「難しい専門知識をだれでもが理解できるように解説するエキスパート」として活躍。