「途上国の農家にテクノロジーを届ける」サグリ 坪井俊輔
MITテクノロジーレビュー主催の「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」から、サグリ 坪井俊輔氏のプレゼンテーションの内容を要約して紹介する。 by Koichi Motoda2021.12.27
MITテクノロジーレビューは12月16日、「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」を開催した。Innovators Under 35は、世界的な課題解決に取り組む若きイノベーターの発掘、支援を目的とするアワード。昨年に続き2 回目の開催となる本年度は、35歳未満の起業家や研究者、活動家など15名のイノベーターを選出した。
その受賞者が集う本サミットでは、各受賞者が自らの取り組みへ対する思いや、今後の抱負を3分間で語った。プレゼンテーションの内容を要約して紹介する。
坪井俊輔(サグリ)
私たちは、世界で25億人を超えている農業関係者がいかにテクノロジーを享受できるようにするかを考え、人工衛星からのデータで土壌評価を行う技術を開発しました。また、世界の農地を自動で区画化する技術も開発しました。これによって、その農地で何の作物が育っているのかなどが、衛星データから解析できるようになりました。
この技術を活かし、途上国の農家に2つのサービスを提供しています。1つはマイクロファイナンスの支援で、農地の面積がどれくらいで何を育てているのかという情報を取得し、信用情報を提供します。もう1つは、営農情報です。例えば途上国の農家は、日本の農家の作物と比べて品質が悪く、収益性も悪い状況です。その質や収益性をテクノロジーで向上させます。
2010年にルワンダで子どもたちを教育していた時、彼らはいろんな夢を持っていながらも、小学校を卒業すると実家で農家を引き継ぎます。私は、農業の仕組みが変われば、その子たちが農家を引き継ぐことなく、自分の道を進めるようになるかも知れないと思いました。
私自身、小さい頃に宇宙への憧れを持っていながらも、多くの人から否定されました。この技術もいろんな人に実現できないと言われましたが、途上国の農業を何とかしたいという思いがあり、それを支援してくれる人や一緒に実現しようとする仲間に支えられました。これからも、途上国の農家にこの技術を届けていくためにがんばりたいと思います。
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- 元田光一 [Koichi Motoda]日本版 ライター
- サイエンスライター。日本ソフトバンク(現ソフトバンク)でソフトウェアのマニュアル制作に携わった後、理工学系出版社オーム社にて書籍の編集、月刊誌の取材・執筆の経験を積む。現在、ICTからエレクトロニクス、AI、ロボット、地球環境、素粒子物理学まで、幅広い分野で「難しい専門知識をだれでもが理解できるように解説するエキスパート」として活躍。